![]() 合成ガスまたは他のガス状炭素源およびメタノールを利用するための方法および生物体
专利摘要:
本発明は、アセチルCoA経路ならびに合成ガスまたは合成ガスおよびメタノールを利用する能力を有する、天然に存在しない微生物の生物体を提供する。一実施形態では、本発明は、天然に存在しない微生物であって、CO、CO2および/またはH2をアセチル補酵素A(アセチルCoA)、メチルテトラヒドロ葉酸(メチルTHF)または他の所望の生成物に変換する経路を前記微生物に付与する1つまたは複数の外因性タンパク質を含み、前記1つまたは複数の外因性タンパク質の不在下で、COまたはCO2およびH2をアセチルCoAまたはメチルTHFに変換する能力を欠く微生物を提供する。 公开号:JP2011509691A 申请号:JP2010544425 申请日:2009-01-22 公开日:2011-03-31 发明作者:クリストフ;エイチ. シリング,;ジョン;ディー. トラウィック,;アンソニー バーガード,;マーク バーク, 申请人:ジェノマティカ, インコーポレイテッド; IPC主号:C12N1-21
专利说明:
[0001] 本出願は、2008年1月22日に出願された米国仮特許出願第61/022,804号および2008年6月5日に出願された米国仮特許出願第61/059,256号の優先権の利益を主張し、各々のこれらの全内容は、本明細書において参考として援用される。] [0002] 本発明は、一般に生合成プロセスに、より具体的には合成ガスまたは他のガス状炭素源およびメタノールを用いることができる生物体に関する。] 背景技術 [0003] 合成ガス(Synthesis gas (syngas))は、石炭、石油、天然ガス、バイオマスまたは廃棄有機物などの任意の有機フィードストックのガス化を通して得ることができる、H2およびCOを主とする混合物である。多数のガス化プロセスが開発されており、ほとんどの設計は、高い温度(500〜1500℃)における、酸素の制限が完全燃焼を回避する有機物質の部分酸化に基づいて、0.5:1〜3:1のH2/COの混合物として合成ガスを提供する。水素分を増加させるために蒸気が時々加えられ、典型的には、水性ガス転化反応を通してCO2生成が増加する。] [0004] 今日、石炭は合成ガスの工業生産に用いられる主な基質であり、それは伝統的に加熱および動力に、またメタノールおよび液体炭化水素のフィッシャー−トロプシュ合成のためのフィードストックとして用いられる。多くの大きな化学会社およびエネルギー会社は、大規模な石炭ガス化プロセスを採用し、この技術を用いる産業において経験がある。] [0005] 石炭に加えて、多種類のバイオマスが合成ガス生産に用いられている。合成ガスおよびCO2などのガス状基質は、再生可能な化学物質および燃料の生物学的生産で利用可能な、最も安価で最も柔軟性のあるフィードストックを代表する。第二次世界大戦の間、主に欧州で、車、トラック、ボートおよびバスを走らせるために、1,000,000以上の小規模バイオマスガス化ユニットが操業されていた。現在では、商業規模(>20,000,000ポンドのバイオマス/年)で検証されたかまたは検証中の、少なくとも3つの主要なバイオマスガス化技術がある。バイオマスガス化技術は、特に熱およびエネルギー生産のために、商業的に実践されている。燃料または化学物質生産との統合が開発中であり、商業規模ではまだ広く実証されていない。] [0006] 概して、世界の実質的にいかなる場所においても、石炭、バイオマス、廃棄物、ポリマーなどを含む過剰の材料から、合成ガスを高い費用効果で生産する技術が現在存在する。合成ガスはバイオマスを含むほとんどの有機物質から生産することができるので、合成ガスを用いる利点には柔軟性が含まれる。別の利点は合成ガスが安価であることであり、100万Btuにつき6ドル以下の費用であり、それは、製品1ポンドにつき0.10ドル以下の原材料費に相当する。さらに、クロストリジウム属の複数の種などの生物体の場合のように、合成ガスを効果的に利用する公知の経路がある。] [0007] 合成ガスを利用する生物体の利用可能性にもかかわらず、一般に公知の生物体は十分に特徴付けられていなく、商業的開発にあまり適していない。例えば、クロストリジウム属および関連細菌は、高濃度のブタノールなどの特定の生成物に不耐容である偏性嫌気性菌であるので、力価および商品化の可能性が制限される。クロストリジウム属は複数の生成物も生成し、そのことは所望の生成物を得るときに分離の問題を提示する。最後に、クロストリジウム属の遺伝子を操作するための容易な遺伝子ツールの開発は、初期の段階にある。したがって、それらは、所望の生成物の収率または生成特性を改善するための遺伝子工学に直ちに適合させることができない。] 発明が解決しようとする課題 [0008] したがって、所望の化学物質および燃料の生成に合成ガスまたは他のガス状炭素源を利用するための微生物およびそれらの使用方法を開発する必要性が存在する。より具体的には、合成ガス利用のための微生物であって、有用な速度および量で価値ある生成物を生成するためのそれらの速やかな設計製作を可能にするための既存の効率的な遺伝子ツールも有する微生物を開発する必要性が存在する。本発明はこの必要性を満たし、関連する利点も提供する。] 課題を解決するための手段 [0009] 本発明は、アセチルCoA経路ならびに合成ガスまたは合成ガスおよびメタノールを利用する能力を有する、天然に存在しない微生物の生物体を提供する。一実施形態では、本発明は、天然に存在しない微生物であって、CO、CO2および/またはH2をアセチル補酵素A(アセチルCoA)、メチルテトラヒドロ葉酸(メチルTHF)または他の所望の生成物に変換する経路を前記微生物に付与する1つまたは複数の外因性タンパク質を含み、前記1つまたは複数の外因性タンパク質の不在下で、COまたはCO2およびH2をアセチルCoAまたはメチルTHFに変換する能力を欠く微生物を提供する。例えば、微生物の生物体は、アセチルCoA経路の酵素またはタンパク質をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むことができる。微生物の生物体は、CO、CO2および/またはH2を単独で、またはメタノールと一緒に含む合成ガスを利用して、アセチルCoAを生成することができる。本発明は、例えば、アセチルCoA生成の微生物の生物体を培養することによってアセチルCoAを生成する方法であって、前記微生物の生物体が、アセチルCoAを生成する条件下および十分な期間、アセチルCoAを生成するのに十分な量で、アセチルCoA経路の酵素またはタンパク質をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を発現する方法をさらに提供する。] 図面の簡単な説明 [0010] 図1は、合成ガスを炭素源として用いる例示的なWood−Ljungdahl経路を示す図である。メチルテトラヒドロ葉酸(Me−THF)を生成するための合成ガスの利用を示すメチル分岐を示す。 図2は、合成ガスを炭素源として用いる例示的なWood−Ljungdahl経路を示す図である。アセチル補酵素A(アセチルCoA)を生成するための合成ガスの利用を示すカルボニル分岐を示す。ヒドロゲナーゼ(12)は、合成ガスの水素を、示す多くの反応に必要である還元当量に変換するのに必要である。 図3は、Wood−Ljungdahlおよびブタノール生成経路の統合を示す代謝経路図である。合成ガスで増殖することができる生物体に一般的に特有である変換は、1)COデヒドロゲナーゼ、2)ヒドロゲナーゼ、3)エネルギー保存ヒドロゲナーゼ(ECH)および4)二元機能COデヒドロゲナーゼ/アセチルCoAシンターゼである。 図4は、ブタノールを生成するために合成ガスを利用するプロセスを示す図である。図4Aは、合成ガスからブタノールへのプロセスのブロック流れ図を示す。図4Bは、ガス化装置の詳細を示す図である。ASUは、空気分離ユニットを表す。 図4は、ブタノールを生成するために合成ガスを利用する方法を示す図である。図4Aは、合成ガスからブタノールへのプロセスのブロック流れ図を示す。図4Bは、ガス化装置の詳細を示す図である。ASUは、空気分離ユニットを表す。 図5は、1−ブタノールを生成するR.rubrumにおける提案されるポリヒドロキシ酪酸(PHB)経路の改変を示す図である。肉太矢印は、C.acetobutylicumの1−ブタノール経路を形成する4遺伝子オペロンの異種発現により導入される反応段階を示す。用いる略語は、PHB、ポリ−β−ヒドロキシブチレート;PhbC、PHBシンターゼ;Crt、クロトナーゼ;Bcd、ブチリル−CoAデヒドロゲナーゼ;Etf、電子伝達フラビンタンパク質;AdhE2、アルデヒド/アルコールデヒドロゲナーゼである。 図6は、後に細胞集団およびエタノールまたは酢酸塩などの生成物に変換することができる、アセチルCoAへのCO、CO2および/またはH2を含むガスの変換を可能にする完全なWood−Ljungdahl経路を示す図である。産生宿主に設計製作することができる例示的な特定の酵素変換に番号を付ける。略語:10FTHF:10−ホルミルテトラヒドロ葉酸、5MTHF:5−メチルテトラヒドロ葉酸、ACTP:リン酸アセチル、FOR:ギ酸塩、METHF:メチレンテトラヒドロ葉酸、MLTHF:メテニルテトラヒドロ葉酸、THF:テトラヒドロ葉酸 図7は、アセチルCoAへのCO、CO2および/またはH2およびメタノールを含むガスの変換を可能にする合成代謝経路を示す図である。産生宿主に設計製作することができる特定の酵素変換に番号を付ける。さらなる略語:MeOH:メタノール 図8は、細胞集団および発酵生成物へのメタノール、COおよびCO2の変換の経路を示す図である。 図9は、10マイクログラムのACS90(レーン1)、ACS91(レーン2)、Mta98/99(レーン3および4)細胞抽出物とサイズ標準(レーン5)およびM.thermoaceticaのCODH(Moth_1202/1203)またはMtr(Moth_1197)タンパク質(50、150、250、350、450、500、750、900および1000ng)の対照のウエスタンブロットを示す図である。 図10は、CO酸化アッセイ結果を示す図である。細胞(CODH/ACSオペロンを有するM.thermoaceticaまたはE.coli;ACS90またはACS91または空ベクター:pZA33S)を増殖させ、抽出物を調製した。アッセイは、抽出物を調製した当日に55℃で種々の時間実施した。メチルビオローゲンの還元を578nmで120秒間にわたって追跡した。 図11は、アセチル−CoAへの、さらには4−ヒドロキシ酪酸へのCO、CO2および/またはH2およびメタノールを含むガスの変換の合成代謝経路を示す図である。 図12は、アセチルCoAへの、さらには1,4−ブタンジオールへのCO、CO2および/またはH2およびメタノールを含むガスの変換の合成代謝経路を示す図である。 図13は、アセチルCoAへの、さらには4−ヒドロキシ酪酸へのCO、CO2および/またはH2を含むガスの変換の合成代謝経路を示す図である。 図14は、アセチルCoAへの、さらには1,4−ブタンジオールへのCO、CO2および/またはH2を含むガスの変換の合成代謝経路を示す図である。] 図1 図10 図11 図12 図13 図14 図2 図3 図4A 図4B [0011] 本発明は、合成ガスまたは他のガス状炭素源を利用して所望の生成物を生成することができる微生物の開発および使用に関する。さらに本発明は、合成ガスを利用する微生物の製品範囲を広げること、合成ガスを利用して所望の生成物を生成することができる組換え生物体を生成すること、それらの収率、力価および生産性を最適化することに関する。増殖および化学物質生産の基質として合成ガスを効率的に利用することができる、商業的スケールアップに適する組換え生物体、例えばEscherichia coliまたは他の生物体の開発は、再生可能な化学物質および燃料の製造にとって費用的に有利なプロセスを提供する。生物体は、速やかに、また相応な費用で最適化および試験することができる。] [0012] フィードストックとしての合成ガスの大きな可能性は、対象とする化学物質および燃料に効率的に、またはコスト的に効率よく変換されるその能力に存在する。合成ガス変換のための2つの主な技術は、フィッシャー−トロプシュプロセスおよび発酵プロセスである。フィッシャー−トロプシュ(F−T)技術は、第二次世界大戦以来開発され、燃料としてのメタノールまたは混合炭化水素の有効生産を可能にする、無機および金属ベースの触媒を含む。F−Tプロセスの欠点は、以下の通りである:1)所望の生成物の分離の困難をもたらす生成物選択性の欠如;2)中毒への触媒感受性;3)必要とされる高温および高圧のための高いエネルギーコスト;ならびに4)商業的に競争力のある費用で入手可能な生成物の限られた範囲。] [0013] 発酵プロセスについては、合成ガスは、この材料をエタノール、アセテートおよび水素などの生成物に変換することができる多くの嫌気性微生物のための炭素およびエネルギー源の役目を果たすことが示されている(下記および表1を参照)。合成ガスの発酵的変換の主な利点は、単一の生成物の生成のための生物体の選択性、合成ガス不純物に対するより大きな耐性、より低い作用温度および圧力、ならびに合成ガスからの生成物の大きなポートフォリオの可能性である。発酵プロセスの主要な欠点は、合成ガスを変換することが公知の生物体が、エタノールおよびアセテートなどの限られた範囲の化学物質だけを生成する傾向があり、他の化学物質の効率的な生産体でないこと、生物体が遺伝子操作のための確立されたツールをもたないこと、および生物体が高い濃度の最終生成物に感受性であるということである。] [0014] 本発明は、合成ガスまたは他のガス状炭素源から化学物質および燃料を含む所望の生成物を生成するのに有効である微生物の生成に関する。本発明の生物体および方法は、従来の石油系生成物、およびグルコース、ショ糖またはリグノセルロース糖から直接に誘導される生成物の両方よりかなり有利な費用で、化学物質および燃料の生成を可能にする。一実施形態では、本発明は、合成ガスまたは他のガス状炭素源を利用して所望の生成物を生成することができる天然に存在しない微生物を提供し、ここで、親微生物は合成ガスを利用する天然の能力を欠く(実施例VIIIを参照)。そのような微生物では、1つまたは複数のタンパク質または酵素が微生物で発現され、それによって、合成ガスまたは他のガス状炭素源を利用して所望の生成物を生成する経路を付与する。他の実施形態では、本発明は、例えば、所望の生成物を生成する高い効率を付与する1つまたは複数の外因性タンパク質または酵素を発現させることによって、遺伝子改変された天然に存在しない微生物を提供し、ここで、親微生物は合成ガスまたは他のガス状炭素源を利用して所望の生成物を生成する能力を有する。したがって、本発明は、合成ガスを利用することができる新しい代謝経路を有する微生物を生成すること、ならびに合成ガスまたは他のガス状炭素源を利用して所望の生成物を生成する改善された効率を有する微生物を生成することに関する。] [0015] さらに本発明は、MtaABC型のメチルトランスフェラーゼ系と一緒にWood−Ljungdahl経路のカルボニル分岐を触媒する酵素およびそれに関連するタンパク質をコードする遺伝子を発現する、天然に存在しない微生物を提供する。そのような生物体は、合成ガスから誘導することができる比較的安価な有機フィードストックであるメタノール、ならびにCO、CO2および/またはH2を含むガスを、アセチルCoA、細胞集団および生成物に変換することができる。] [0016] Escherichia coliは、他に類を見ない遺伝子ツールを揃えている、産業上の馬車馬(workhorse)生物体である。合成ガスをアセチルCoA、すなわち全ての細胞集団の成分および多くの価値ある生成物を誘導することができる中心的な代謝産物に変換する能力をE.coliなどの外来の宿主に導入する(engineering)ことは、Wood−Ljungdahl経路の様々なタンパク質をコードする外因性の遺伝子の発現の後に達成することができる。この経路は、1942年のその単離(Fontaineら、J Bacteriol. 43巻、701〜715頁(1942年))以来、Wood−Ljungdahl経路を解明するためのモデル生物体であるMoorella thermoacetica(旧称、Clostridium thermoaceticum)などの酢酸生成性生物体で非常に活発である。Wood−Ljungdahl経路は、2つの分岐を含む:メチルテトラヒドロ葉酸(Me−THF)へのCO2の変換を可能にするイースタンまたはメチル分岐、ならびにアセチルCoAへのメチルTHF、COおよび補酵素Aの変換を可能にするウエスタンまたはカルボニル分岐(図1および2を参照)。本明細書で開示されるように、本発明はWood−Ljungdahl経路の両分岐を触媒する遺伝子を発現する天然に存在しない微生物を提供する。そのような生物体は、CO、CO2および/またはH2を含むガスを、アセチルCoA、細胞集団および生成物に変換することができる。さらに本発明は、MtaABC型のメチルトランスフェラーゼ系と一緒にWood−Ljungdahl経路のカルボニル分岐を触媒する酵素をコードする遺伝子を発現する、天然に存在しない微生物を提供する。そのような生物体は、合成ガスから誘導することができる比較的安価な有機フィードストックであるメタノール、ならびにCO、CO2および/またはH2を含むガスを、アセチルCoA、細胞集団および生成物に変換することができる。] 図1 [0017] 合成ガス(syngas)またはプロデューサーガスとしても公知の合成ガス(synthesis gas)は、石炭、ならびに炭素質の材(例えば農作物および残渣を含むバイオマス材)のガス化の主要な生成物である。合成ガスはH2およびCOを主とする混合物であり、それらに限定されないが石炭、石油、天然ガス、バイオマスおよび廃棄有機物を含む任意の有機フィードストックのガス化から得ることができる。ガス化は、高い燃料対酸素比の下で一般に実施される。ほとんどH2およびCOであるが、合成ガスはより少ない量のCO2および他のガスを含むこともできる。したがって、合成ガスはCO、さらにCO2などのガス状炭素の経済的供給源を提供する。] [0018] 本明細書で開示されるように、COおよび/またはCO2を含む合成ガスなどのガス状炭素源は、本発明の天然に存在しない微生物によって利用されて所望の生成物を生成することができる。本明細書で一般に合成ガスとして例示されるが、本発明の天然に存在しない微生物はCOおよび/またはCO2を含む任意のガス状炭素源を利用することができるものと理解される。したがって、本発明は、炭素源としてCOおよび/またはCO2を利用することができる天然に存在しない微生物に関する。] [0019] Wood−Ljungdahl経路は、アセチルCoAおよびアセテートなどの他の生成物へのCOおよびH2の変換を触媒する。一般にCOおよび合成ガスを利用することができる生物体は、Wood−Ljungdahl経路に包含されるものと同じ酵素および形質転換の基本セットを通して、CO2およびCO2/H2混合物を利用する能力も有する。同じ生物体がCOを用いることもでき、同じ経路が含まれることが明らかにされるずっと前に、微生物によるアセテートへのCO2のH2依存性変換が認識された。水素が存在して必要な還元当量を供給する限り、多くのアセテート生成菌がCO2の存在下で増殖し、アセテートなどの化合物を生成することが示された(例えば、Drake、Acetogenesis、3〜60頁、Chapman and Hall、New York、(1994年)参照)。これは、以下の式に要約することができる: 2CO2+4H2+nADP+nPi→CH3COOH+2H2O+nATP したがって、Wood−Ljungdahl経路を有する天然に存在しない微生物は、アセチルCoAおよび他の所望の生成物の生成のためにCO2およびH2混合物も利用することができる。] [0020] Wood−Ljungdahl経路は当技術分野で周知であり、12個の反応からなり、それらは2つの分岐、すなわち(1)メチル分岐および(2)カルボニル分岐に分けることができる。メチル分岐は合成ガスをメチルテトラヒドロ葉酸(メチルTHF)に変換し、カルボニル分岐はメチルTHFをアセチルCoAに変換する。メチル分岐における反応は、以下の酵素またはタンパク質によって順番に触媒される:フェレドキシンオキシドレダクターゼ、ギ酸デヒドロゲナーゼ、ホルミルテトラヒドロ葉酸シンテターゼ、メテニルテトラヒドロ葉酸シクロデヒドラターゼ、メチレンテトラヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼおよびメチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼ。カルボニル分岐における反応は、以下の酵素またはタンパク質によって順番に触媒される:メチルテトラヒドロ葉酸:コリノイドタンパク質メチルトランスフェラーゼ(例えば、AcsE)、コリノイド鉄−硫黄タンパク質、ニッケル−タンパク質アセンブリータンパク質(例えば、AcsF)、フェレドキシン、アセチルCoAシンターゼ、一酸化炭素デヒドロゲナーゼおよびニッケル−タンパク質アセンブリータンパク質(例えば、CooC)。十分な数のコード核酸を導入してアセチルCoA経路を生成するための、本明細書で提供される教示および指針に従って、当業者は、宿主生物体に存在しないWood−Ljungdahl酵素またはタンパク質をコードする核酸を少なくとも導入することに関して、同じ技術設計を実施することもできることを理解するであろう。したがって、改変された生物体が1つの分岐または完全なWood−Ljungdahl経路を含むように、本発明の微生物の生物体へ1つまたは複数のコード核酸を導入することは、合成ガス利用能を付与する。] [0021] したがって、本発明の天然に存在しない微生物は、COおよび/またはCO2を提供する合成ガスまたは他のガス状炭素源を用いて、所望の生成物を生成することができる。CO2の場合、追加の供給源には、それらに限定されないが、メタンがCO2に変換される、アンモニアおよび水素プラントにおける副産物としてのCO2の生成;木および化石燃料の燃焼;ビール、ウィスキーおよび他のアルコール飲料の醸造、または他の発酵プロセスにおける糖発酵の副産物としてのCO2の生成;石灰CaOの製造における石灰岩CaCO3の熱分解;リン酸ナトリウム製造の副産物としてのCO2の生成;石灰岩またはドロマイトに対する酸性化された水の作用によって生成される、天然の二酸化炭素源からの直接生成とが含まれる。] [0022] 本明細書で用いるように、本発明の微生物の生物体または微生物に関して用いられる場合、用語「天然に存在しない」は、その微生物の生物体が、その参照種の野生型株を含むその参照種の天然株で通常見られない、少なくとも1つの遺伝的変化を有することを意味するものとする。遺伝的変化には、例えば、代謝ポリペプチドをコードする発現可能な核酸を導入する改変、他の核酸の付加、核酸欠失および/または微生物遺伝物質の他の機能的破壊が含まれる。そのような改変には、例えば、参照種の異種の、同種の、または異種および同種のポリペプチドのコード領域およびその機能的断片が含まれる。追加の改変には、例えば、その改変が遺伝子またはオペロンの発現を変化させる非コード調節領域が含まれる。例示的な代謝ポリペプチドには、アセチルCoA生合成経路内の酵素またはタンパク質が含まれる。] [0023] 代謝改変は、その天然の状態から変更された生化学反応を指す。したがって、天然に存在しない微生物は、代謝ポリペプチドまたはその機能的断片をコードする核酸に対する遺伝子改変を有することができる。例示的な代謝改変が、本明細書で開示される。] [0024] 本明細書で用いるように、微生物の生物体または微生物に関して用いられる場合、用語「単離された」は、参照の微生物の生物体が天然で見られるような少なくとも1つの成分を実質的に含まない生物体を意味するものとする。本用語は、その天然環境で見られるような一部または全ての成分が除去されている微生物の生物体を含む。本用語は、その微生物の生物体が天然に存在しない環境で見られるような一部または全ての成分が除去されている微生物の生物体も含む。したがって、単離された微生物の生物体は、それが天然で見られるか、またはそれが天然に存在しない環境で増殖され、保存されるか生存するような他の物質から一部または完全に分離される。単離された微生物の生物体の具体例には、部分的に純粋な微生物、実質的に純粋な微生物、および天然に存在しない培地で培養された微生物が含まれる。] [0025] 本明細書で用いるように、用語「微生物の」、「微生物の生物体」または「微生物」は、古細菌、細菌または真核生物のドメインに含まれる、微視的細胞として存在する任意の生物体を意味するものとする。したがって、本用語は、顕微鏡的大きさを有する原核生物または真核生物の細胞または生物体を包含するものとし、全ての種類の細菌、古細菌および真正細菌、ならびに酵母および真菌類などの真核生物の微生物を含む。本用語は、生化学物質の生成のために培養することができる、任意の種の細胞培養物も含む。] [0026] 本明細書で用いるように、用語「CoA」または「補酵素A」は、活性酵素系を形成するためにその存在が多くの酵素(アポ酵素)の活性のために必要とされる、有機コファクターまたは補欠分子族(酵素の非タンパク部分)を意味するものとする。補酵素Aは、特定の縮合酵素で機能し、アセチルまたは他のアシル基転移、ならびに脂肪酸合成および酸化、ピルベート酸化ならびに他のアセチル化で作用する。] [0027] 本明細書で用いるように、培養または増殖条件に関して用いられる場合、用語「実質的に嫌気性」は、酸素の量が、液体培地中の溶存酸素の飽和量の約10%未満であることを意味するものとする。本用語は、約1%未満の酸素の雰囲気で維持される、液体または固体培地の密封チャンバー、も含むものとする。] [0028] 本明細書で用いる「外因性」は、参照分子または参照活性が宿主の微生物の生物体に導入されることを意味するものとする。分子は、例えば、宿主染色体への組込みなどによる宿主遺伝物質へのコード核酸の導入によって、またはプラスミドなどの非染色体遺伝物質として導入することができる。したがって、コード核酸の発現に関して用いられる本用語は、微生物の生物体への発現可能な形でのコード核酸の導入を指す。生合成活性に関して用いられる場合、本用語は、宿主参照生物体に導入される活性を指す。供給源は、例えば、宿主の微生物の生物体への導入の後に参照活性を発現する、同種または異種のコード核酸であってよい。したがって、用語「内因性」は、宿主に存在する参照分子または活性を指す。同様に、コード核酸の発現に関して用いられる場合、本用語は、微生物の生物体に含まれるコード核酸の発現を指す。用語「異種の」は、参照種以外の供給源に由来する分子または活性を指し、「同種の」は、宿主の微生物の生物体に由来する分子または活性を指す。したがって、本発明のコード核酸の外因性の発現は、異種または同種のコード核酸のいずれかまたは両方を利用することができる。] [0029] 本発明の天然に存在しない微生物の生物体は安定した遺伝的変化を含むことができ、それは変化を失わずに5世代を超えて培養することができる微生物を指す。一般に、安定した遺伝的変化には、10世代を超えて存続する改変が含まれ、特に安定した改変は約25世代を超えて存続し、より詳しくは、安定した遺伝子改変は無期限を含めて50世代を超える。] [0030] 当業者は、本明細書で例示される代謝改変を含む遺伝的変化が、E.coliなどの適切な宿主生物体およびそれらの対応する代謝反応、または所望の遺伝物質、例えば所望の代謝経路の遺伝子に適する供給源生物体に関して記載されることを理解するであろう。しかし、多種多様な生物体の完全なゲノム配列決定およびゲノミクスの領域における高レベルの技術を考慮して、当業者は、本明細書で提供される教示および指針を事実上他の全ての生物体に適用することが容易にできる。例えば、本明細書で例示したE.coliの代謝改変は、参照種以外の種からの同じであるか類似したコード核酸を組み込むことによって、他の種に容易に適用することができる。そのような遺伝的変化には、例えば、一般には種のホモログの遺伝的変化、より詳細には、オルソログ、パラログまたは非オルソロガスな遺伝子置換が含まれる。] [0031] オルソログは、垂直伝達(vertical descent)が関係し、異なる生物体での実質的に同じか同一の機能の役割を担う1つまたは複数の遺伝子である。例えば、マウスエポキシドヒドロラーゼおよびヒトエポキシドヒドロラーゼは、エポキシドの加水分解の生物学的機能のためのオルソログと考えることができる。遺伝子は、例えば、それらが同種であるか共通祖先からの進化によって関係していることを示すのに十分な量の配列類似性をそれらが共有する場合、垂直伝達が関係している。それらが、一次配列類似性が識別可能でない程度までそれらが共通祖先から進化したことを示すのに十分な量の三次元構造を共有するが必ずしも配列類似性を共有しない場合にも、遺伝子はオルソログと考えることができる。オルソロガスである遺伝子は、約25%〜100%アミノ酸配列同一性の配列類似性を有するタンパク質をコードすることができる。それらの三次元構造も類似性を示す場合、25%未満のアミノ酸類似性を共有するタンパク質をコードする遺伝子も、垂直伝達によって生じたと考えることができる。組織プラスミノーゲン活性化因子およびエラスターゼを含む、酵素のセリンプロテアーゼファミリーのメンバーは、共通祖先から垂直伝達によって生じたと考えられる。] [0032] オルソログには、例えば進化を通して構造または全体的活性が異なった、遺伝子またはそれらのコードされた遺伝子生成物が含まれる。例えば、1つの種が2つの機能を示す遺伝子生成物をコードし、そのような機能が第2の種の異なる遺伝子に分離されている場合、3つの遺伝子およびそれらの対応する生成物はオルソログであるとみなされる。生化学生成物の生成については、当業者は、天然に存在しない微生物の構築のために、導入または破壊される代謝活性を抱えているオルソロガス遺伝子が選択されるべきであることを理解するであろう。分離できる活性を示すオルソログの例は、異なる活性が2つ以上の種の間で、または単一の種の中で異なる遺伝子生成物に分離されている場合である。具体例は、セリンプロテアーゼ活性の2つの型であるエラスターゼタンパク質分解およびプラスミノーゲンタンパク質分解の、プラスミノーゲン活性化因子およびエラスターゼのような異なる分子への分離である。第2の例は、マイコプラズマ5’−3’エキソヌクレアーゼおよびDrosophilaDNAポリメラーゼIII活性の分離である。第1の種からのDNAポリメラーゼは、第2の種からのエキソヌクレアーゼまたはポリメラーゼの一方または両方にオルソログであると、またはその逆とみなすことができる。] [0033] 対照的に、パラログは、例えば複製とそれに続く進化的分岐によって関係があるホモログであり、類似または共通しているが、同一でない機能を有する。パラログは、例えば、同じ種または異なる種を起源とするかそれに由来することができる。例えば、ミクロソームのエポキシドヒドロラーゼ(エポキシドヒドロラーゼI)および可溶性のエポキシドヒドロラーゼ(エポキシドヒドロラーゼII)は、同じ種で異なる反応を触媒し、異なる機能を有する、共通祖先から共進化した2つの異なる酵素を表すので、パラログと考えることができる。パラログは、かなりの相互配列類似性を有する同じ種からのタンパク質であり、共通祖先からの共進化を通してそれらが相同であるか関係することを示唆している。パラロガスのタンパク質ファミリー群には、HipAホモログ、ルシフェラーゼ遺伝子、ペプチダーゼなどが含まれる。] [0034] 非オルソロガス遺伝子置換は、異なる種の参照遺伝子機能の代わりになることができる、1つの種からの非オルソロガス遺伝子である。置換には、例えば、異なる種での参照機能と比較して、起源種で実質的に同じかまたは類似した機能を発揮することができるものが含まれる。一般に、非オルソロガス遺伝子置換は、参照機能をコードする公知の遺伝子に構造的に関係することを確認することが可能であるが、より構造的に関係しないが機能的に類似した遺伝子およびそれらの対応する遺伝子生成物も、本明細書で用いられるような用語の意味の範囲内である。例えば、機能的類似性は、置換しようとする機能をコードする遺伝子と比較して、非オルソロガス遺伝子生成物の活性部位または結合性領域において少なくとも多少の構造類似性を要求する。したがって、非オルソロガス遺伝子には、例えばパラログまたは無関係な遺伝子が含まれる。] [0035] したがって、アセチルCoA生合成能力を有する本発明の天然に存在しない微生物の生物体を特定し、構築することにおいて、特定の種に本明細書で提供される教示および指針を適用することで、当業者は、代謝改変の特定にはオルソログの特定および組入れまたは不活化を含めることができることを理解する。パラログおよび/または非オルソロガスな遺伝子置換が、類似したか実質的に類似した代謝反応を触媒する酵素をコードする参照微生物に存在する範囲内において、当業者はこれらの進化関係の遺伝子を利用することもできる。] [0036] オルソログ、パラログおよび非オルソロガスな遺伝子置換は、当業者に周知である方法によって決定することができる。例えば、2つのポリペプチドのための核酸またはアミノ酸配列の検査は、比較される配列間の配列の同一性および類似性を明らかにする。そのような類似性に基づいて、タンパク質が共通祖先からの進化を通して関係していることを示すのにその類似性が十分に高いかどうか、当業者は決定することができる。当業者に周知であるアルゴリズム、例えばAlign、BLAST、Clustal Wなどは、生の配列の類似性または同一性を比較、決定し、さらに、重みまたはスコアを割り当てることができる配列中のギャップの存在または重要性を決定する。そのようなアルゴリズムは当技術分野でも公知であり、ヌクレオチド配列の類似性または同一性を決定することに同様に適用できる。関連性を決定するのに十分な類似性のパラメータは、統計的類似性、またはランダムなポリペプチド中で類似したマッチを見出す可能性、および決定されるマッチの有意性を計算するための周知の方法に基づいて計算される。所望により、2つ以上の配列のコンピュータによる比較を、当業者が視覚的に最適化することもできる。関係する遺伝子生成物またはタンパク質は、高い類似性、例えば25%〜100%の配列同一性を有すると予想することができる。無関係であるタンパク質は、十分なサイズのデータベースをスキャンする場合に偶然に起こることが予想されるのと事実上同じである同一性を有することができる(約5%)。5%から24%の間の配列は、比較する配列が関係していると結論するのに十分な相同性を表すことができるか、表すことができない。これらの配列の関連性を決定するために、データセットのサイズを前提とするそのようなマッチの有意性を決定する追加の統計分析を実施することができる。] [0037] 例えば、BLASTアルゴリズムを用いて2つ以上の配列の関連性を決定するための例示的なパラメータは、下に示すようなものでよい。簡単に述べると、アミノ酸配列アラインメントは、BLASTPバージョン2.0.8(1999年1月5日)および以下のパラメータを用いて実施することができる:マトリックス:0 BLOSUM62;ギャップオープン:11;ギャップ伸長:1;x_dropoff:50;予想:10.0;ワードサイズ:3;フィルター:オン。核酸配列アラインメントは、BLASTNバージョン2.0.6(1998年9月16日)および以下のパラメータを用いて実施することができる:マッチ:1;ミスマッチ:−2;ギャップオープン:5;ギャップ伸長:2;x_dropoff:50;予想:10.0;ワードサイズ:11;フィルター:オフ。当業者は、例えば、比較のストリンジェンシーを増加または低減させ、2つ以上の配列の関連性を決定するために、どのような改変を上記のパラメータに加えることができるかを知るであろう。] [0038] 一実施形態では、本発明は、天然に存在しない微生物であって、COおよび/またはCO2およびH2をアセチル補酵素A(アセチルCoA)に変換する経路を前記微生物に付与する1つまたは複数の外因性タンパク質を含み、前記1つまたは複数の外因性タンパク質の不在下で、COおよび/またはCO2およびH2をアセチルCoAに変換する能力を欠く微生物を提供する。例えば、前記1つまたは複数の外因性タンパク質または酵素は、コバラミドコリノイド/鉄−硫黄タンパク質、メチルトランスフェラーゼ、一酸化炭素デヒドロゲナーゼ、アセチルCoAシンターゼ、アセチルCoAシンターゼジスルフィドレダクターゼおよびヒドロゲナーゼから選択することができる(図1、実施例VIIおよびVIIIを参照)。微生物は、COおよび/またはCO2およびH2をアセチルCoAに変換する経路を付与する、全てまでを含む2つ以上、3つ以上、などのタンパク質および酵素、例えばコバラミドコリノイド/鉄−硫黄タンパク質、メチルトランスフェラーゼ、一酸化炭素デヒドロゲナーゼ、アセチルCoAシンターゼ、アセチルCoAシンターゼジスルフィドレダクターゼおよびヒドロゲナーゼを発現することもできる。] 図1 [0039] 本明細書で開示されるように、本発明の実施形態は、COおよび/またはCO2を炭素源として利用して所望の生成物を生成することができる、天然に存在しない微生物を生成することに関する。例えば、Wood−Ljungdahl経路のカルボニルおよび/またはメチル分岐のタンパク質および酵素(図1および2)が、Wood−Ljungdahl酵素を天然に含まない微生物に導入される。Wood−Ljungdahl経路の遺伝子操作に特に有用な生物体はE.coliであり、それは、利用可能な遺伝子操作ツールだけでなく発酵条件に関してもよく特徴付けられている(実施例VIIIを参照)。] 図1 [0040] 別の実施形態では、本発明は、天然に存在しない微生物であって、COおよびH2を含む、合成ガスとしても公知の合成ガスまたは他のガス状炭素源をアセチル補酵素A(アセチルCoA)に変換する経路を前記微生物に付与する1つまたは複数の外因性タンパク質を含み、前記1つまたは複数の外因性タンパク質の不在下で、COおよびH2をアセチルCoAに変換する能力を欠く微生物を提供する。そのような合成ガスまたは他のガスは、CO2をさらに含むことができる。したがって、本発明の天然に存在しない微生物は、CO2、COおよび/またはH2をアセチルCoAに変換する効率を増加させる経路を含むことができる。さらに、本発明は、天然に存在しない微生物であって、CO2およびH2を含むガス状炭素源をアセチルCoAに変換する経路を前記微生物に付与する1つまたは複数の外因性タンパク質を含み、前記1つまたは複数の外因性タンパク質の不在下で、CO2およびH2をアセチルCoAに変換する能力を欠く微生物を提供する。ガスは、COをさらに含むことができる。本明細書で記載のように、外因性タンパク質は、コバラミドコリノイド/鉄−硫黄タンパク質、メチルトランスフェラーゼ、一酸化炭素デヒドロゲナーゼ、アセチルCoAシンターゼ、アセチルCoAシンターゼジスルフィドレダクターゼおよびヒドロゲナーゼから選択することができる。] [0041] さらに別の実施形態では、本発明は、天然に存在しない微生物であって、COおよび/またはCO2およびH2をメチルテトラヒドロ葉酸(メチルTHF)に変換する経路を前記微生物に付与する1つまたは複数の外因性タンパク質を含み、前記1つまたは複数の外因性タンパク質の不在下で、COおよび/またはCO2およびH2をメチルTHFに変換する能力を欠く微生物を提供する。本明細書で開示されるように、前記1つまたは複数の外因性タンパク質は、フェレドキシンオキシドレダクターゼ、ギ酸デヒドロゲナーゼ、ホルミルテトラヒドロ葉酸シンテターゼ、メテニルテトラヒドロ葉酸シクロデヒドラターゼ、メチレンテトラヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼおよびメチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼから選択することができる(図1および実施例VIIIを参照)。前記微生物は、COおよび/またはCO2およびH2をメチルTHFに変換する経路を付与する、全てまでを含む2つ以上、3つ以上、などのタンパク質および酵素を発現することもでき、それらには、フェレドキシンオキシドレダクターゼ、ギ酸デヒドロゲナーゼ、ホルミルテトラヒドロ葉酸シンテターゼ、メテニルテトラヒドロ葉酸シクロデヒドラターゼ、メチレンテトラヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼおよびメチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼの全てまでが含まれる。] 図1 [0042] さらに、本発明は、天然に存在しない微生物であって、COおよびH2を含む合成ガスまたは他のガス状炭素源をメチルTHFに変換する経路を前記微生物に付与する1つまたは複数の外因性タンパク質を含み、前記1つまたは複数の外因性タンパク質の不在下で、COおよびH2をメチルTHFに変換する能力を欠く微生物を提供する。合成ガスは、CO2をさらに含むことができる。さらに、本発明は、天然に存在しない微生物であって、CO2およびH2を含むガス状炭素源をメチルTHFに変換する経路を前記微生物に付与する1つまたは複数の外因性タンパク質を含み、前記1つまたは複数の外因性タンパク質の不在下で、CO2およびH2をメチルTHFに変換する能力を欠く微生物を提供する。ガス状炭素源は、COをさらに含むことができる。上記のように、外因性タンパク質は、フェレドキシンオキシドレダクターゼ、ギ酸デヒドロゲナーゼ、ホルミルテトラヒドロ葉酸シンテターゼ、メテニルテトラヒドロ葉酸シクロデヒドラターゼ、メチレンテトラヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼおよびメチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼから選択することができる。] [0043] したがって、本発明は、天然に存在しない微生物、およびそのような微生物を利用して、COおよび/またはCO2を含む合成ガスまたは他のガスからアセチルCoAまたはメチルTHFなどの所望の生成物を生成する方法、特に、それ以前にはCOおよび/またはCO2を含む合成ガスまたは別のガスを炭素源として利用することができなかった、COおよび/またはCO2を含む合成ガスまたは他のガスを利用することができる微生物を生成することに関する(実施例VIIIを参照)。さらに、微生物はWood−Ljungdahl経路のメチルおよびカルボニル分岐の両方を含むように設計製作することができる(図1、2および6)。さらに、所望の生成物を生成すること(例えばアセチルCoAまたはメチルTHFを前駆体として有する生成物を生成すること)ができるタンパク質または酵素を発現させることによって所望の生成物を生成するように微生物を設計製作することによって、他の所望の生成物を生成することもできる(図3を参照)。本明細書で開示されるように、そのような微生物は、所望の代謝経路を付与するタンパク質または遺伝子を発現させることによって、または代謝を所望の生成物の方へ誘導することができる欠失を決定することによって生成することができる。] 図1 図3 [0044] さらに、本発明は、天然に存在しない微生物であって、その遺伝子改変が存在しない前記微生物と比べて高い、COおよび/またはCO2およびH2からアセチルCoAを生成する効率を前記微生物に付与する遺伝子改変を含み、COおよび/またはCO2およびH2をアセチルCoAに変換する経路を含む微生物を提供する。そのような微生物において、遺伝子改変は、1つまたは複数の外因性タンパク質をコードする1つまたは複数の核酸分子の発現を含むことができ、それによって前記1つまたは複数の外因性タンパク質の発現は、COおよび/またはCO2およびH2からアセチルCoAを生成する効率を高める。本明細書で開示されるように、1つまたは複数の外因性タンパク質は、コバラミドコリノイド/鉄−硫黄タンパク質、メチルトランスフェラーゼ、一酸化炭素デヒドロゲナーゼ、アセチルCoAシンターゼ、アセチルCoAシンターゼジスルフィドレダクターゼおよびヒドロゲナーゼから、そのようなタンパク質の全てまでを含め、選択することができる。そのような天然に存在しない微生物は、1つまたは複数の遺伝子破壊を含む遺伝子改変を代わりに、または追加で有することができ、それによって前記1つまたは複数の遺伝子破壊は、COおよび/またはCO2およびH2からアセチルCoAを生成する効率を高める。さらに、本発明は、天然に存在しない微生物であって、本明細書で開示される方法を用いてメチルTHFまたは他の所望の生成物を生成する高い効率を付与する遺伝子改変を含む微生物を提供する。したがって、本発明は、COおよび/またはCO2を含む合成ガスまたは他のガスから所望の生成物を生成する能力を既に有する微生物において、所望の生成物の生成効率を向上させることにさらに関する。] [0045] 本発明は、天然に存在しない微生物であって、COおよび/またはCO2を炭素源として含む合成ガスまたは他のガスの利用を前記微生物に付与する1つまたは複数のタンパク質を含み、COおよび/またはCO2の利用を付与する前記1つまたは複数のタンパク質の不在下で炭素源を利用する能力を欠く微生物にも関する。さらに本発明は、天然に存在しない微生物であって、炭素源としての一酸化炭素および/または二酸化炭素の利用を前記微生物に付与する1つまたは複数のタンパク質を含み、前記1つまたは複数のタンパク質の不在下で前記炭素源を利用する能力を欠く微生物を提供する。さらに別の実施形態では、本発明は、天然に存在しない微生物であって、H2と組み合わせた炭素源としてのCOおよび/またはCO2の利用を前記微生物に付与する1つまたは複数のタンパク質を含み、前記1つまたは複数のタンパク質の不在下で前記炭素源を利用する能力を欠く微生物を提供する。さらに本発明は、天然に存在しない微生物であって、H2およびCO2と組み合わせた炭素源としてのCOの利用を前記微生物に付与する1つまたは複数のタンパク質を含み、前記1つまたは複数のタンパク質の不在下で前記炭素源を利用する能力を欠く微生物を提供する。そのような微生物は、炭素源から所望の生成物、例えばメチルテトラヒドロ葉酸またはアセチル補酵素A(アセチルCoA)、またはアセチルCoAもしくはメチルTHFから合成される生成物を含む、本明細書で開示される他の所望の生成物を生成するために用いることができる。そのような天然に存在しない微生物は、本明細書で開示されるような、生成物の生成を増加させる1つまたは複数の外因性タンパク質を発現することができる(図1および2を参照)。] 図1 [0046] さらに本発明は、天然に存在しない微生物であって、合成ガスまたは他のガス状炭素源の利用を前記微生物に付与する1つまたは複数の外因性タンパク質を含み、前記1つまたは複数の外因性タンパク質の不在下で前記炭素源を利用する能力を有し、それによって前記1つまたは複数の外因性タンパク質の発現が前記炭素源の利用効率を高める微生物を提供する。さらに本発明は、天然に存在しない微生物であって、炭素源としての一酸化炭素の利用を前記微生物に付与する1つまたは複数の外因性タンパク質を含み、前記1つまたは複数の外因性タンパク質の不在下で前記炭素源を利用する能力を有し、それによって前記1つまたは複数の外因性タンパク質の発現が前記炭素源の利用効率を高める微生物を提供する。] [0047] さらに別の実施形態では、本発明は、天然に存在しない微生物であって、H2と組み合わせた炭素源としてのCOおよび/またはCO2の利用を前記微生物に付与する1つまたは複数の外因性タンパク質を含み、前記1つまたは複数の外因性タンパク質の不在下で前記炭素源を利用する能力を有し、それによって前記1つまたは複数の外因性タンパク質の発現が前記炭素源の利用効率を高める微生物を提供する。さらに、天然に存在しない微生物であって、H2およびCO2と組み合わせた炭素源としてのCOの利用を前記微生物に付与する1つまたは複数の外因性タンパク質を含み、前記1つまたは複数の外因性タンパク質の不在下で前記炭素源を利用する能力を有し、それによって前記1つまたは複数の外因性タンパク質の発現が前記炭素源の利用効率を高める微生物が提供される。本明細書で開示されるように、そのような微生物は、アセチルCoA、メチルTHFまたは他の所望の生成物などの所望の生成物を前記炭素源から生成するために用いることができる。] [0048] 本発明は、メタノールおよび合成ガスを利用してアセチルCoAを生成することができる、天然に存在しない微生物の生物体も提供する。したがって、本微生物の生物体は、メタノールおよびCO、CO2および/またはH2、例えば、CO2、CO2およびH2、CO、COおよびH2、CO2およびCO、またはCO2、COおよびH2を利用して、アセチルCoAを生成することができる。アセチルCoAはほとんどの微生物の生物体で生成されるので、アセチルCoAを生成することができる本発明の天然に存在しない微生物の生物体は、所望の経路を含むように設計製作されたものであると理解される。さらに、微生物の生物体は、メタノールおよび合成ガスを利用してアセチルCoAを生成するように設計製作される(実施例を参照)。一実施形態では、本発明は、天然に存在しない微生物の生物体であって、アセチルCoAを生成するのに十分な量で発現されるアセチルCoA経路の酵素またはタンパク質をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含むアセチル補酵素A(アセチルCoA)経路を有し、前記アセチルCoA経路は、メタノール−メチルトランスフェラーゼおよびアセチルCoAシンターゼ/一酸化炭素デヒドロゲナーゼを含む微生物の生物体を提供する。そのような天然に存在しない微生物の生物体では、アセチルCoA経路は、CO2、COおよび/またはH2、すなわちそれらの組合せを、アセチルCoAに変換する能力を付与することができる。そのようなアセチルCoA経路のメタノール−メチルトランスフェラーゼ活性は、例えば、メタノールメチルトランスフェラーゼ、コリノイドタンパク質(MtaCなど)およびメチルテトラヒドロ葉酸:コリノイドタンパク質メチルトランスフェラーゼ(MtaAなど)から選択される酵素またはタンパク質を含むことができる(実施例IIおよびIIIを参照)。そのようなアセチルCoA経路のアセチルCoAシンターゼ/一酸化炭素デヒドロゲナーゼ活性は、例えば、メチルテトラヒドロ葉酸:コリノイドタンパク質メチルトランスフェラーゼ(AcsEなど)、コリノイド鉄−硫黄タンパク質(AcsDなど)、ニッケル−タンパク質アセンブリータンパク質(AcsFなど)、フェレドキシン、アセチルCoAシンターゼ、一酸化炭素デヒドロゲナーゼおよびニッケル−タンパク質アセンブリータンパク質(CooCなど)から選択される酵素またはタンパク質を含むことができる(実施例IIおよびIIIを参照)。本明細書で開示されるように、アセチルCoA経路をコードする2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上などの核酸を、本発明の天然に存在しない微生物の生物体で発現させることができる。特定の実施形態では、天然に存在しない微生物の生物体は、メタノール−メチルトランスフェラーゼ(メタノールメチルトランスフェラーゼ、コリノイドタンパク質(MtaCなど)およびメチルテトラヒドロ葉酸:コリノイドタンパク質メチルトランスフェラーゼ(MtaAなど)を含む)、ならびにアセチルCoAシンターゼ/一酸化炭素デヒドロゲナーゼ(メチルテトラヒドロ葉酸:コリノイドタンパク質メチルトランスフェラーゼ(AcsEなど)、コリノイド鉄−硫黄タンパク質(AcsDなど)、ニッケル−タンパク質アセンブリータンパク質(CooCなど)、フェレドキシン、アセチルCoAシンターゼ、一酸化炭素デヒドロゲナーゼおよびニッケル−タンパク質アセンブリータンパク質(AcsFなど)を含む)をコードする10個の外因性核酸を含むことができる。] [0049] さらに別の実施形態では、天然に存在しない微生物の生物体は、ピルビン酸フェレドキシンオキシドレダクターゼをさらに含むことができる。例えば、ピルビン酸フェレドキシンオキシドレダクターゼは、外因性核酸によってコードされてもよい。さらに別の実施形態では、本明細書で開示されるように、天然に存在しない微生物の生物体はヒドロゲナーゼをさらに含むことができ、それは内因性または外因性の核酸によってコードすることができる(実施例IIおよびIIIを参照)。] [0050] 本明細書で開示されるように、天然に存在しない微生物の生物体は、例えば、異種の核酸である少なくとも1つの外因性の核酸を含むことができる。本明細書でさらに開示されるように、天然に存在しない微生物の生物体は、例えば、実質的に嫌気性の培地で増殖させることができる。] [0051] 本発明は、一般に代謝反応、その反応体もしくは生成物に関して、または、参照代謝反応、反応体もしくは生成物に関連するかそれを触媒する酵素、またはそれに関連するタンパク質をコードする1つまたは複数の核酸または遺伝子に特に関して本明細書で記載される。本明細書で明示的に特記されていない場合、当業者は、反応への言及が、反応の反応体および生成物への言及も構成することを理解するであろう。同様に、本明細書で明示的に特記されない場合、反応体または生成物への言及は反応へも言及し、これらの代謝構成要素のいずれかへの言及は、参照反応、反応体または生成物を触媒する酵素、またはそれらに関与するタンパク質をコードする遺伝子または複数の遺伝子にも言及する。同様に、代謝生化学、酵素学およびゲノミクスの周知の分野を考慮すると、本明細書での遺伝子またはコード核酸への言及は、対応するコードされた酵素およびそれが触媒する反応、またはその反応に関連するタンパク質、ならびにその反応の反応体および生成物への言及も構成する。] [0052] 本発明の天然に存在しない微生物の生物体は、1つまたは複数のアセチルCoA生合成経路に関与する1つまたは複数の酵素またはタンパク質をコードする発現可能な核酸を導入することによって生成することができる。生合成のために選択される宿主の微生物の生物体によって、特定のアセチルCoA生合成経路の一部または全部のための核酸を発現させることができる。例えば、選択された宿主で所望の生合成経路の1つまたは複数の酵素またはタンパク質が不足する場合、不足する(1つまたは複数の)酵素または(1つまたは複数の)タンパク質のための発現可能な核酸が、その後の外因性発現のために宿主に導入される。あるいは、選択された宿主が経路の一部の遺伝子の内因性発現を示すが、他が不足する場合、アセチルCoA生合成を達成するために、不足する(1つまたは複数の)酵素または(1つまたは複数の)タンパク質のコード核酸が必要である。したがって、本発明の天然に存在しない微生物の生物体は、所望の生合成経路を得るために外因性の酵素もしくはタンパク質の活性を導入することによって生成することができ、または、所望の生合成経路は、1つまたは複数の内因性の酵素もしくはタンパク質と一緒にアセチルCoAなどの所望の生成物を生成する、1つまたは複数の外因性酵素もしくはタンパク質の活性を導入することによって得ることができる。] [0053] 選択された宿主の微生物の生物体のアセチルCoA生合成経路構成要素によって、本発明の天然に存在しない微生物の生物体は、外因的に発現されるアセチルCoA経路をコードする少なくとも1つの核酸、および1つまたは複数のアセチルCoA生合成経路のためのコード核酸の全てまでを含む。例えば、アセチルCoA生合成は、対応するコード核酸の外因性発現を通して、経路の酵素またはタンパク質に欠ける宿主で確立することができる。アセチルCoA経路の全ての酵素またはタンパク質に欠ける宿主では、その経路の全ての酵素またはタンパク質の外因性発現が含まれてもよいが、経路の全てのタンパク質またはタンパク質は、宿主が経路の酵素またはタンパク質の少なくとも1つを含む場合にも発現させることができるものと理解される。例えば、メタノールメチルトランスフェラーゼ、コリノイドタンパク質(MtaCなど)およびメチルテトラヒドロ葉酸:コリノイドタンパク質メチルトランスフェラーゼ(MtaAなど)を含めることができるメタノール−メチルトランスフェラーゼ、ならびにメチルテトラヒドロ葉酸:コリノイドタンパク質メチルトランスフェラーゼ(AcsEなど)、コリノイド鉄−硫黄タンパク質(AcsDなど)、ニッケル−タンパク質アセンブリータンパク質(AcsFなど)、フェレドキシン、アセチルCoAシンターゼ、一酸化炭素デヒドロゲナーゼおよびニッケル−タンパク質アセンブリータンパク質(CooCなど)を含めることができるアセチルCoAシンターゼ/一酸化炭素デヒドロゲナーゼなど、アセチルCoAの生成のための経路の全ての酵素またはタンパク質の外因性発現が含まれてもよい。] [0054] 別の実施形態では、合成ガスまたは他のガス状炭素源からアセチルCoAを生成する経路において、その生合成経路の1つまたは複数のタンパク質は、コバラミドコリノイド/鉄−硫黄タンパク質、メチルトランスフェラーゼ、一酸化炭素デヒドロゲナーゼ、アセチルCoAシンターゼ、アセチルCoAシンターゼジスルフィドレダクターゼおよびヒドロゲナーゼから選択することができる(図2、実施例VIIおよびVIIIを参照)。メチルTHFを生成する経路において、その生合成経路の1つまたは複数のタンパク質は、フェレドキシンオキシドレダクターゼ、ギ酸デヒドロゲナーゼ、ホルミルテトラヒドロ葉酸シンテターゼ、メテニルテトラヒドロ葉酸シクロデヒドラターゼ、メチレンテトラヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼおよびメチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼから選択することができる(図1および実施例VIIIを参照)。さらに、アセチルCoAおよびメチルTHFの両方を生成するために必要とされる酵素をコードする遺伝子を、微生物に導入することができる(図3および実施例VIIIを参照)。スクシネート、4−ヒドロキシブチレートおよび1,4−ブタンジオールを含む追加の所望の生成物の生成のための代謝経路が、例えば2007年8月10日に出願の米国特許出願第11/891,602号、およびWO/2008/115840に記載される(実施例VIIIを参照)。] 図1 図2 図3 [0055] 本明細書で提供される教示および指針を考慮すると、当業者は、発現可能な形で導入するためのコード核酸の数が、少なくとも選択される宿主の微生物の生物体のアセチルCoA経路の不足に対応することを理解するであろう。したがって、本発明の天然に存在しない微生物の生物体は、本明細書で開示されるアセチルCoA生合成経路を構成する酵素またはタンパク質をコードする1、2、3、4、5、6、7、8、9個、または全てまでの核酸を有することができる。一部の実施形態では、天然に存在しない微生物の生物体は、アセチルCoA生合成を促進もしくは最適化するか、または宿主の微生物の生物体に他の有用な機能を付与する他の遺伝子改変を含むこともできる。1つのそのような他の機能は、例えば、メタノールなどのアセチルCoA経路前駆体の1つまたは複数の合成の増強を含むことができる。] [0056] 一般に宿主の微生物の生物体は、それがアセチルCoA経路の前駆体を、天然に生成された分子として、または所望の前駆体の新規の生成を提供するか、宿主の微生物の生物体によって天然に生成される前駆体の生成を増加させる設計製作された生成物として生成するように選択される。本明細書で開示されるように、宿主生物体は、前駆体の生成を増加させるように設計製作することができる。さらに、所望の前駆体を生成するように設計製作された微生物の生物体は、宿主生物体として用いることができ、また、アセチルCoA経路の酵素またはタンパク質を発現するようにさらに設計製作することができる。] [0057] 一部の実施形態では、本発明の天然に存在しない微生物の生物体は、アセチルCoAを合成する酵素能力を含む宿主から生成される。この具体的な実施形態では、例えばアセチルCoA経路反応をアセチルCoA生成の方へ向けるために、アセチルCoA経路生成物の合成または蓄積を増加させることが有用なことがある。合成または蓄積の増加は、例えば、上記のアセチルCoA経路の酵素またはタンパク質の1つまたは複数をコードする核酸の過剰発現によって達成することができる。アセチルCoA経路の1つまたは複数の酵素および/または1つまたは複数のタンパク質の過剰発現は、例えば内因性の1つまたは複数の遺伝子の外因性発現を通して、または異種の1つまたは複数の遺伝子の外因性発現を通して起こることができる。したがって、天然に存在する生物体は、アセチルCoA生合成経路の酵素またはタンパク質をコードする1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の、すなわち、全てまでの核酸の過剰発現を通して、例えばアセチルCoAを生成する、本発明の天然に存在しない微生物の生物体になるように容易に生成することができる。さらに、天然に存在しない生物体は、アセチルCoA生合成経路の酵素の活性の増加をもたらす内因性遺伝子の突然変異誘発によって生成することができる。] [0058] 特に有用な実施形態では、コード核酸の外因性発現が使用される。外因性発現は、発現エレメントおよび/または調節エレメントを宿主および用途に対し特別仕立てにする(custom tailor)能力を付与し、使用者によって制御される所望の発現レベルを達成する。しかし、誘導可能なプロモーターまたは他の調節エレメントに連結される場合、例えば負の調節エフェクターの除去または遺伝子のプロモーターの誘導によって、内因性発現を他の実施形態で利用することもできる。したがって、天然に存在する誘導可能なプロモーターを有する内因性遺伝子は、適当な誘導剤を提供することによって上方制御することができるか、または、内因性遺伝子の調節領域を誘導可能な調節エレメントを組み込むように設計製作し、それによって所望の時間における内因性遺伝子の発現の増加の調節を可能にすることができる。同様に、天然に存在しない微生物の生物体に導入される外因性遺伝子のための調節エレメントとして、誘導可能なプロモーターが含まれてもよい。] [0059] 本発明の方法では、1つまたは複数の外因性核酸のいずれかを微生物の生物体に導入して、本発明の天然に存在しない微生物の生物体を生成することができるものと理解される。核酸は、例えば、微生物の生物体にアセチルCoA生合成経路を付与するために導入することができる。あるいは、コード核酸を導入して、アセチルCoA生合成能力を付与するために必要とされる反応のいくつかを触媒する生合成能力を有する、中間の微生物の生物体を生成することができる。例えば、アセチルCoA生合成経路を有する天然に存在しない微生物の生物体は、所望の酵素またはタンパク質、例えば、メタノールメチルトランスフェラーゼおよびコリノイドタンパク質;メタノールメチルトランスフェラーゼおよびメチルテトラヒドロ葉酸:コリノイドタンパク質メチルトランスフェラーゼ;コリノイドタンパク質およびコリノイド鉄−硫黄タンパク質;ニッケル−タンパク質アセンブリータンパク質およびフェレドキシンなどの組合せをコードする少なくとも2つの外因性核酸を含むことができる。したがって、生合成経路の2つ以上の酵素またはタンパク質の任意の組合せが、本発明の天然に存在しない微生物の生物体に含まれてもよいと理解される。同様に、所望の生合成経路の酵素および/またはタンパク質の組合せが対応する所望の生成物の生成をもたらす限り、所望により、生合成経路の3つ以上の酵素またはタンパク質の任意の組合せ、例えば、メタノールメチルトランスフェラーゼ、コリノイド鉄−硫黄タンパク質(AcsDなど)およびアセチルCoAシンターゼ;コリノイドタンパク質(MtaCなど)、一酸化炭素デヒドロゲナーゼおよびニッケル−タンパク質アセンブリータンパク質(例えばCooCまたはAcsF);メチルテトラヒドロ葉酸:コリノイドタンパク質メチルトランスフェラーゼ(AcsEなど)、フェレドキシンおよびアセチルCoAシンターゼなどが、本発明の天然に存在しない微生物の生物体に含まれてもよいと理解される。同様に、所望の生合成経路の酵素および/またはタンパク質の組合せが対応する所望の生成物の生成をもたらす限り、所望により、本明細書で開示される生合成経路の4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つまたはそれを超える酵素またはタンパク質の任意の組合せが、本発明の天然に存在しない微生物の生物体に含まれてもよい。] [0060] 本明細書に記載のアセチルCoAの生合成に加えて、他の経路による生成物生合成を達成するために、本発明の天然に存在しない微生物の生物体および方法は、様々な相互組合せならびに当技術分野で周知である他の微生物の生物体および方法との組合せで利用することもできる。例えば、アセチルCoA生産体の使用以外のアセチルCoAを生成する1つの代替形態は、アセチルCoA経路の中間体をアセチルCoAに変換することができる別の微生物の生物体を追加することによるものである。そのような方法の1つは、例えば、アセチルCoA経路の中間体を生成する微生物の生物体の発酵を含む。次に、アセチルCoA経路の中間体は、アセチルCoA経路の中間体をアセチルCoAに変換する第2の微生物の生物体のための基質として用いることができる。アセチルCoA経路の中間体を、第2の生物体の別の培養物に直接加えることができ、または、アセチルCoA経路中間体の生産体の元の培養物から、例えば細胞分離によってこれらの微生物の生物体を除去することができ、次に、発酵ブロスへの第2の生物体のその後の添加を利用して、中間体の精製工程なしで最終生成物を生成することができる。] [0061] 他の実施形態では、本発明の天然に存在しない微生物の生物体および方法は、例えばアセチルCoAの生合成を達成するために、多種多様の下位経路で組み立てることができる。これらの実施形態では、本発明の所望の生成物のための生合成経路を異なる微生物の生物体に分離することができ、異なる微生物の生物体を共培養して最終生成物を生成することができる。そのような生合成スキームでは、1つの微生物の生物体の生成物は、最終生成物が合成されるまで第2の微生物の生物体のための基質である。例えば、アセチルCoAの生合成は、別の経路の中間体または生成物への1つの経路の中間体の変換のための生合成経路を含む微生物の生物体を構築することによって達成することができる。あるいは、アセチルCoAは、同じ容器中の2つの生物体を用いる共培養または共発酵を通して微生物の生物体から生合成的に生成することもでき、その場合、第1の微生物の生物体はアセチルCoA中間体を生成し、第2の微生物の生物体は中間体をアセチルCoAに変換する。] [0062] 本明細書で提供される教示および指針を考慮すると、当業者は、本発明の天然に存在しない微生物の生物体および方法と、他の微生物の生物体との、下位経路を有する他の天然に存在しない微生物の生物体の共培養との、およびアセチルCoAを生成することが当技術分野で周知である他の化学的および/または生化学的方法の組合せとの、多種多様の組合せおよび並べかえが存在することを理解するであろう。さらに、アセチルCoAは他の望ましい生成物の前駆体であるので、本発明の天然に存在しない微生物の生物体は、所望により、アセチルCoAを前駆体または中間体として利用する他の所望の経路を付与できる宿主生物体として用いることができる。] [0063] アセチルCoA経路の酵素またはタンパク質のためのコード核酸の供給源には、例えば、コードされる遺伝子生成物が参照反応を触媒することができる任意の種を含めることができる。そのような種には、それらに限定されないが、古細菌および真正細菌を含む細菌、ならびに酵母、植物、昆虫、動物およびヒトを含む哺乳動物を含む真核生物を含む、原核生物および真核生物両方の生物体が含まれる。そのような供給源のための例示的な種には、例えば、Escherichia coli、Methanosarcina barkeri、Methanosarcina acetivorans、Moorella thermoacetica、Carboxydothermus hydrogenoformans、Rhodospirillum rubrum、Acetobacterium woodii、Butyribacterium methylotrophicum、Clostridium autoethanogenum、Clostridium carboxidivorans、Clostridium ljungdahlii、Eubacterium limosum、Oxobacter pfennigii、Peptostreptococcus productus、Rhodopseudomonas palustris P4、Rubrivivax gelatinosus、Citrobacter sp Y19、Methanosarcina acetivorans C2A、Methanosarcina barkeri、Desulfosporosinus orientis、Desulfovibrio desulfuricans、Desulfovibrio vulgaris、Moorella thermoautotrophica、Carboxydibrachium pacificus、Carboxydocella thermoautotrophica、Thermincola carboxydiphila、Thermolithobacter carboxydivorans、Thermosinus carboxydivorans、Methanothermobacter thermoautotrophicus、Desulfotomaculum carboxydivorans、Desulfotomaculum kuznetsovii、Desulfotomaculum nigrificans、Desulfotomaculum thermobenzoicum subsp. thermosyntrophicum、Syntrophobacter fumaroxidans、Clostridium acidurici、Desulfovibrio africanusなど、ならびに本明細書で開示されるか、対応する遺伝子の供給源生物体として利用可能な他の例示的な種が含まれる。しかし、395種の微生物ゲノムおよび様々な酵母、真菌類、植物および哺乳動物のゲノムを含む、今では550を超える種(これらの半分以上はNCBIなどの公開データベースで利用可能)について完全なゲノム配列が利用可能であるので、例えば、公知の遺伝子のホモログ、オルソログ、パラログおよび非オルソロガス遺伝子の置換を含む、関係のあるまたは遠戚の種の1つまたは複数の遺伝子のための必要なアセチルCoA生合成活性をコードする遺伝子の同定、ならびに生物体の間の遺伝子改変の交換は、当技術分野で日常的であり周知である。したがって、E.coliなどの特定の生物体に関して本明細書で記載されるアセチルCoAの生合成を可能にする代謝改変は、原核生物および真核生物の生物体を同様に含む他の微生物に容易に適用することができる。本明細書で提供される教示および指針を考慮すると、当業者は、1つの生物体で例示される代謝改変を他の生物体に同等に適用することができることを知るであろう。] [0064] 代替のアセチルCoA生合成経路が無関係な種に存在する場合などの一部の例では、例えば、参照反応の代わりに類似するが同一でない代謝反応を触媒する、無関係な種からの1つまたは複数のパラログの外因性発現によってアセチルCoA生合成を宿主種に付与することができる。異なる生物体の間で代謝ネットワークの間の特定の違いが存在するので、当業者は、異なる生物体の間の実際の遺伝子の使用が異なることがあることを理解するであろう。しかし、本明細書で提供される教示および指針を考慮すると、当業者は、アセチルCoAを合成する対象種で微生物の生物体を構築するために、本明細書で例示される微生物の生物体へのコグネイト代謝改変を用いて本発明の教示および方法を全ての微生物の生物体に適用することができることも理解するであろう。] [0065] 宿主の微生物の生物体を、例えば、細菌、酵母、真菌、または発酵プロセスに適用できる様々な他の微生物のいずれかから選択し、天然に存在しない微生物の生物体をそれらで生成することができる。例示的な細菌には、Escherichia coli、Klebsiella oxytoca、Anaerobiospirillum succiniciproducens、Actinobacillus succinogenes、Mannheimia succiniciproducens、Rhizobium etli、Bacillus subtilis、Corynebacterium glutamicum、Gluconobacter oxydans、Zymomonas mobilis、Lactococcus lactis、Lactobacillus plantarum、Streptomyces coelicolor、Clostridium acetobutylicum、Pseudomonas fluorescensおよびPseudomonas putidaから選択される種が含まれる。例示的な酵母または真菌類には、Saccharomyces cerevisiae、Schizosaccharomyces pombe、Kluyveromyces lactis、Kluyveromyces marxianus、Aspergillus terreus、Aspergillus nigerおよびPichia pastorisから選択される種が含まれる。E.coliは遺伝子工学に適する特徴のよくわかっている微生物の生物体であるので、特に有用な宿主生物体である。他の特に有用な宿主生物体には、Saccharomyces cerevisiaeなどの酵母が含まれる。宿主生物体として適する例示的なアセテート生成菌には、Rhodospirillum rubrum、Moorella thermoaceticaおよびDesulfitobacterium hafnienseが含まれるが、これらに限定されない(実施例を参照)。] [0066] 天然に存在しないアセチルCoA産生宿主を構築してその発現レベルを検査するための方法は、例えば、当技術分野で周知である組換え方法および検出方法によって実施することができる。そのような方法は、例えば、Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory、New York(2001年)およびAusubelら、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley and Sons、Baltimore、MD(1999年)に記載されているのを見ることができる。] [0067] アセチルCoAの生成のための経路に関与する外因性核酸配列は、それらに限定されないがコンジュゲーション、エレクトロポレーション、化学的形質転換、形質導入、トランスフェクションおよび超音波形質転換を含む当技術分野で周知の技術を用いて、宿主細胞に安定してまたは一時的に導入することができる。E.coliまたは他の原核細胞での外因性発現のために、遺伝子のいくつかの核酸配列または真核生物の核酸のcDNAは、N末端ミトコンドリアなどのターゲティングシグナルまたは他のターゲティングシグナルをコードすることができ、それは、所望により、原核生物の宿主細胞への形質転換の前に除去してもよい。例えば、ミトコンドリアのリーダー配列の除去は、E.coliでの発現の増加をもたらした(Hoffmeisterら、J. Biol. Chem. 280巻、4329〜4338頁(2005年))。酵母または他の真核細胞での外因性発現のために、宿主細胞に適するミトコンドリアのターゲティングシグナルまたは分泌シグナルなどの適切なターゲティング配列を加えることによって、遺伝子は、リーダー配列を加えることなしでサイトゾルで発現させることができるか、またはミトコンドリアもしくは他のオルガネラを標的にすることができるか、または分泌を標的にすることができる。したがって、ターゲティング配列を除去するか含むための核酸配列への適当な改変を外因性核酸配列に組み込んで、望ましい特性を付与することができるものと理解される。さらに、当技術分野で周知の技術で遺伝子にコドン最適化を受けさせ、タンパク質の最適化された発現を達成することができる。] [0068] 宿主生物体で機能的である発現調節配列に作動可能に連結されている、本明細書で例示される核酸をコードする1つまたは複数のアセチルCoA生合成経路を含むように、1つまたは複数の発現ベクターを構築することができる。本発明の微生物宿主生物体での使用に適用できる発現ベクターには、例えば、プラスミド、ファージベクター、ウイルスベクター、エピソーム、ならびに宿主染色体への安定した組込みのために操作可能なベクターおよび選択配列もしくはマーカーを含む人工染色体が含まれる。さらに、発現ベクターには、1つまたは複数の選択可能なマーカー遺伝子および適当な発現調節配列を含めることができる。例えば、抗生物質もしくは毒素への耐性を提供するか、栄養要求性の欠乏を補充するか、または培地にない重大な栄養素を供給する、選択可能なマーカー遺伝子が含まれてもよい。発現調節配列には、当技術分野で周知である、構成的プロモーターおよび誘導可能なプロモーター、転写エンハンサー、転写ターミネーターなどを含めることができる。2つ以上の外因性コード核酸を共発現させる場合、両方の核酸は、例えば、単一の発現ベクターまたは別々の発現ベクターに挿入することができる。単一ベクターの発現のために、コード核酸は、作動的に1つの共通の発現調節配列に連結するか、異なる発現調節配列に、例えば1つの誘導可能なプロモーターおよび1つの構成的プロモーターに連結することができる。代謝経路もしくは合成経路に関与する外因性核酸配列の形質転換は、当技術分野で周知である方法を用いて確認することができる。そのような方法には、例えば、mRNAのノーザンブロットもしくはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅などの核酸分析、または遺伝子生成物の発現のためのイムノブロッティング、または導入された核酸配列もしくはその対応する遺伝子生成物の発現を試験する他の適切な分析法が含まれる。外因性核酸は所望の生成物を生成するために十分な量で発現されることは当業者によって理解され、また、当技術分野で周知であって本明細書で開示される方法を用いて十分な発現を得るために、発現レベルを最適化することができることがさらに理解される。] [0069] 本発明は、アセチルCoA経路を有する本発明の天然に存在しない微生物の生物体を培養することによってアセチルCoAを生成する方法をさらに提供する。アセチルCoA経路は、例えば、アセチルCoAを生成する条件下およびそれに十分な期間、アセチルCoAを生成するのに十分な量で発現されるアセチルCoA経路の酵素またはタンパク質をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むことができ、アセチルCoA経路は、メタノール−メチルトランスフェラーゼおよびアセチルCoAシンターゼ/一酸化炭素デヒドロゲナーゼを含む。そのようなアセチルCoA経路では、メタノール−メチルトランスフェラーゼは、メタノールメチルトランスフェラーゼ、コリノイドタンパク質(MtaCなど)およびメチルテトラヒドロ葉酸:コリノイドタンパク質メチルトランスフェラーゼ(MtaA)から選択される酵素またはタンパク質を含むことができる。さらに、そのようなアセチルCoA経路では、アセチルCoAシンターゼ/一酸化炭素デヒドロゲナーゼは、メチルテトラヒドロ葉酸:コリノイドタンパク質メチルトランスフェラーゼ(AcsEなど)、コリノイド鉄−硫黄タンパク質(AcsDなど)、ニッケル−タンパク質アセンブリータンパク質(AcsFなど)、フェレドキシン、アセチルCoAシンターゼ、一酸化炭素デヒドロゲナーゼおよびニッケル−タンパク質アセンブリータンパク質(CooCなど)から選択される酵素またはタンパク質を含むことができる。天然に存在しない微生物の生物体は、実質的に嫌気性の培地中に存在することができる。特定の実施形態では、天然に存在しない微生物の生物体は、CO2、COおよび/またはH2、すなわちそれらの組合せ、およびメタノールの存在下で培養することができる。天然に存在しない微生物の生物体は、ピルビン酸フェレドキシンオキシドレダクターゼをさらに含むことができ、それは、外因性核酸によって発現させることができる。天然に存在しない微生物の生物体は、例えば、内因性または外因性の核酸によってコードされるヒドロゲナーゼをさらに含むこともできる。] [0070] 別の実施形態では、天然に存在しない微生物の生物体は、特に実質的に嫌気性の条件下で、電子受容体、例えばニトレートの存在下で培養することができる(実施例IIIを参照)。バイオマスの所望の増加を達成するために、その加える量がバイオマスの所望の増加のために十分な量の電子受容体を提供する限り、所望により、微生物培養物に適量のニトレート、例えば1mM〜100mM、またはより低いかより高い濃度のニトレートを加えることができるものと理解される。バイオマスの所望の増加を達成するために適当なものとして、そのような量には、5mM、10mM、15mM、20mM、25mM、30mM、40mM、50mMが含まれるが、これらに限定されない。] [0071] アセチルCoAの生成を試験するための適切な精製および/またはアッセイは、周知の方法を用いて実施することができる。試験する各設計製作した株について、3連の培養物などの適切な複製物を増殖させることができる。例えば、設計製作した産生宿主における生成物および副産物の形成を観察することができる。最終生成物および中間体、ならびに他の有機化合物を、HPLC(高性能液体クロマトグラフィー)、GC−MS(ガスクロマトグラフィー−質量分析)およびLC−MS(液体クロマトグラフィー−質量分析)などの方法、または当技術分野で周知である常用の手順を用いる他の適切な分析法によって分析することができる。発酵ブロス中の生成物の放出を、培養上清で試験することもできる。副産物および残留グルコースは、例えば、グルコースおよびアルコールのための屈折率検出器および有機酸のための紫外線検出器を用いてHPLCによって(Linら、Biotechnol. Bioeng. 90巻、775〜779頁(2005年))、または当技術分野で周知である他の適切なアッセイおよび検出方法によって定量化することができる。外因性DNA配列からの個々の酵素またはタンパク質活性を、当技術分野で周知である方法を用いて分析することもできる(実施例IIIを参照)。] [0072] アセチルCoAまたはアセチルCoAから誘導される生成物は、当技術分野で周知である様々な方法を用いて培養物中の他の成分から分離することができる。アセチルCoAから誘導される生成物には、エタノール、ブタノール、イソブタノール、イソプロパノール、1,4−ブタンジオール、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、4−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、乳酸、メタクリル酸、アジピン酸およびアクリル酸が含まれるが、これらに限定されない。そのような分離法には、例えば抽出法、ならびに連続液液抽出、浸透気化法、膜濾過、膜分離、逆浸透、電気透析、蒸留、結晶化、遠心分離、抽出濾過、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィーおよび限外濾過を含む方法が含まれる。上の方法の全ては、当技術分野において周知である。] [0073] 本明細書で記載される天然に存在しない微生物の生物体のいずれかを培養して、本発明の生合成生成物を生成および/または分泌することができる。例えば、アセチルCoAまたはアセチルCoAから誘導された生成物の生合成生成のために、アセチルCoA生産体を培養することができる。] [0074] アセチルCoAの生成のために、メタノールおよびCO、CO2および/またはH2を含むガスの炭素源およびエネルギー源、ならびに他の必要不可欠な栄養素を含む培地で組換え株が培養される。全プロセスの費用を削減するために、発酵槽の嫌気的条件を維持することが非常に望ましい。そのような条件は、例えば、最初に培地に窒素をスパージし、次にセプタムおよびクリンプキャップでフラスコを密封することによって得ることができる。嫌気条件で増殖が観察されない株のために、限定的通気のための小さな穴をセプタムに開けることによって、微好気的条件を適用することができる。例示的な嫌気的条件は以前に記載されており、当技術分野において周知である。例示的な好気的および嫌気的条件は、例えば、2007年8月10日に出願の米国特許出願第11/891,602号およびWO/2008/115840に記載されている。本明細書で開示されるように、発酵はバッチ、フェドバッチまたは連続的方法で実施することができる。] [0075] 所望により、培地を望ましいpHに維持するために、必要により塩基、例えばNaOHもしくは他の塩基、または酸の添加によって培地のpHを所望のpH、特に中性pH、例えば約7のpHに維持してもよい。増殖速度は、分光光度計(600nm)を用いて光学濃度を測定することによって決定することができ、グルコース取込み速度は、炭素源減損を経時的に監視することによって決定できる。] [0076] 増殖培地は、例えば、天然に存在しない微生物に炭素源を供給することができる任意の炭水化物源を含むことができる。そのような供給源には、例えば糖類、例えばグルコース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、およびデンプンが含まれる。炭水化物の他の供給源には、例えば再生可能なフィードストックおよびバイオマスが含まれる。本発明の方法でフィードストックとして用いることができる例示的なバイオマスの型には、セルロースのバイオマス、ヘミセルロースのバイオマスおよびリグニンフィードストックまたはフィードストックの部分が含まれる。そのようなバイオマスフィードストックは、例えば炭素源として有用な炭水化物基質、例えばグルコース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マンノース、フルクトースおよびデンプンを含む。本明細書で提供される教示および指針を考慮すると、当業者は、上で例示されるもの以外の再生可能なフィードストックおよびバイオマスを、アセチルCoAの生成のための本発明の微生物の生物体を培養するために用いることもできることを理解する。] [0077] したがって、本明細書で提供される教示および指針を考慮すると、当業者は、炭水化物、メタノールならびにCO、CO2および/またはH2を含むガスなどの炭素源で増殖させるとき、本発明の生合成された化合物を細胞内発現するか分泌する、天然に存在しない微生物の生物体を生成することができることを理解するであろう。そのような化合物には、例えばアセチルCoAおよび任意のアセチルCoA経路の中間代謝産物、ならびにアセチルCoAから誘導される生成物(例えばエタノール、ブタノール、イソブタノール、イソプロパノール、1,4−ブタンジオール、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、4−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、乳酸、メタクリル酸、アジピン酸およびアクリル酸)が含まれる。必要なのは、例えば、アセチルCoA生合成経路の一部もしくは全部の組入れを含む、所望の化合物または中間体の生合成を達成するために必要とされる酵素またはタンパク質活性の1つまたは複数における設計製作することだけである。したがって、本発明は、炭水化物または他の炭素源で増殖させるとアセチルCoAを生成し、炭水化物または他の炭素源で増殖させるとアセチルCoA経路で示される中間代謝産物のいずれかを生成および/または分泌するか、あるいはアセチルCoAから誘導される生成物を生成および/または分泌する、天然に存在しない微生物の生物体を提供する。本発明のアセチルCoAを生成する微生物の生物体は、中間体、例えば5−メチルテトラヒドロ葉酸(Me−THF)から合成を開始することができる。] [0078] 本発明の天然に存在しない微生物の生物体は、本明細書で例示される当技術分野で周知である方法を用いて、アセチルCoA経路の酵素またはタンパク質をコードする少なくとも1つの核酸を、アセチルCoAの生成に十分な量で外因的に発現するように構築される。本発明の微生物の生物体は、アセチルCoAの生成に十分な条件下で培養されると理解される。本明細書で提供される教示および指針に従い、本発明の天然に存在しない微生物の生物体は、約0.001〜200mMまたはそれを超える細胞内濃度をもたらすアセチルCoAの生合成を達成することができる。一般に、アセチルCoAの細胞内濃度は、約3〜150mM、詳細には約5〜125mM、より詳細には約8〜100mM、例えば約10mM、20mM、50mM、80mM、またはそれを超える。これらの例示的な範囲のそれぞれの間のおよびそれを超える細胞内濃度も、本発明の天然に存在しない微生物の生物体から達成することができる。] [0079] 一部の実施形態では、培養条件は、嫌気的または実質的に嫌気的な増殖または維持条件を含む。例示的な嫌気的条件は以前に記載されており、当技術分野において周知である。発酵プロセスの例示的な嫌気的条件が本明細書に記載され、例えば、2007年8月10日に出願の米国特許出願第11/891,602号およびWO/2008/115840に記載されている。これらの条件のいずれかを、当技術分野で周知である他の嫌気的条件と同様に、天然に存在しない微生物の生物体で使用することができる。そのような嫌気的条件の下で、アセチルCoA生産体は、5〜10mMまたはそれを超える細胞内濃度、ならびに本明細書で例示される他の全ての濃度で、アセチルCoAを合成することができる。上の記載が細胞内濃度に言及し、アセチルCoA産生の微生物の生物体はアセチルCoAを細胞内で生成することができるものと理解される。さらに、アセチルCoAから誘導される生成物は、細胞内で生成することおよび/または分泌させることができる。そのような生成物には、エタノール、ブタノール、イソブタノール、イソプロパノール、1,4−ブタンジオール、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、4−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、乳酸、メタクリル酸、アジピン酸およびアクリル酸が含まれるが、これらに限定されない。] [0080] 培養条件には、例えば、液体培養法だけでなく発酵および他の大規模培養法を含めることができる。本明細書で記載されるように、本発明の生合成生成物の特に有用な収率は、嫌気的または実質的に嫌気的な培養条件の下で得ることができる。] [0081] 本明細書で記載されるように、アセチルCoAの生合成を達成するための1つの例示的な増殖条件には、嫌気培養または発酵条件が含まれる。特定の実施形態では、本発明の天然に存在しない微生物の生物体は、嫌気的または実質的に嫌気的な条件の下で維持し、培養し、または発酵させることができる。簡単に述べると、嫌気条件とは酸素が欠けている環境を指す。実質的に嫌気的な条件には、例えば、培地中の溶解酸素濃度が飽和の0〜10%の間にあるような、培養、バッチ発酵または連続発酵が含まれる。実質的に嫌気的な条件には、1%未満の酸素の雰囲気で維持される密封チャンバー内の液体培地または固体寒天で細胞を増殖または休止させることも含まれる。酸素の割合は、例えば、培養物をN2/CO2混合物または他の適切な1つまたは複数の非酸素ガスでスパージすることによって維持することができる。] [0082] 本明細書で記載される培養条件は、アセチルCoAを製造するために規模を拡大して、連続的に増殖させることができる。例示的な増殖法には、例えば、フェドバッチ発酵およびバッチ分離;フェドバッチ発酵および連続分離、または連続発酵および連続分離が含まれる。これらのプロセスの全ては、当技術分野においては周知である。発酵法は、特に商業的な量のアセチルCoAの生合成による生産に有用である。一般に、また非連続培養法と同様に、アセチルCoAの連続的および/またはほとんど連続的な生成には、指数増殖期の増殖を持続および/またはほとんど持続させるために十分な栄養素および培地で、本発明の天然に存在しないアセチルCoA産生生物体を培養することが含まれよう。そのような条件下での連続培養は、例えば、1日、2、3、4、5、6または7日、またはそれを超えて含むことができる。さらに、連続培養は、1週間、2、3、4または5週間、またはそれを超える週および最高数カ月を含むことができる。あるいは、本発明の生物体は、特定の用途に適する場合は数時間培養することができる。連続的および/またはほとんど連続的な培養条件は、これらの例示的な期間の間の全ての期間を含むこともできることを理解すべきである。本発明の微生物の生物体を培養する時間は、所望の目的のために十分な量の生成物を生成するために十分な期間であることがさらに理解される。] [0083] 発酵法は、当技術分野において周知である。簡単に述べると、アセチルCoAの生合成生成のための発酵は、例えば、フェドバッチ発酵およびバッチ分離;フェドバッチ発酵および連続分離、または連続発酵および連続分離で利用することができる。バッチ発酵法および連続発酵法の例は、当技術分野で周知である。] [0084] かなりの量のアセチルCoAの連続的生成のために本発明のアセチルCoA生産体を用いる上記の発酵法に加えて、アセチルCoA生産体は、例えば、生成物を他の化合物に変換するための化学合成法に同時にかけること、または、生成物を発酵培養物から分離し、続いて、所望により、生成物を他の化合物に変換するために、化学変換にかけることができる。] [0085] 合成ガスをエタノールに変換することができる微生物を含む、少なくとも30個の異なる野生型生物体が多年かけて単離され、合成ガスまたは合成ガスの成分で増殖することが示された(Vegaら、Appl. Biochem. Biotechnol. 20/21巻、781〜797頁(1989年))(表1を参照)。改善された合成ガス発酵のための候補生物体には、アセテート生成菌(acetogen)、光栄養生物、硫酸塩還元細菌およびメタン生成菌が含まれ、これらは、唯一の炭素源およびエネルギー源としてCOおよび/またはCO2/H2を利用することができる(Sipmaら、Crit. Rev. Biotechnol. 26巻、41〜65頁、(2006年))。中温性のアセテート生成菌Clostridium carboxidivoransは、速い倍加時間を有し、合成ガスでの増殖の間にエタノールおよび少量のブタノールを天然に生成することが示されているので、合成ガス−化学物質のプラットホームのための最も期待される生物体の1つである(Henstraら、Curr. Opin. Biotechnol. 18巻、200〜206頁(2007年))。この生物体のために遺伝子ツールを開発することができる。標的遺伝子欠失もしくは挿入のための遺伝子ツールが存在する水素生成(hydrogenic)紅色非硫黄細菌Rhodospirillum rubrumは、所望の生成物を生成するための合成ガス利用の開発のための別の良好な候補生物体であるが、それは合成ガスから水素を天然に生成するので、必要に応じて代謝改変を設計製作することができる。] [0086] 一部の合成ガス利用生物体の代謝が知られている。例えば、C.carboxidivoransなどのアセテート生成菌は、水素が存在して必要な還元当量を供給する限り、グルコースの不在下でさえ、Wood−Ljungdahl経路を利用することによってCOまたはCO2の存在下で増殖することができる。Wood−Ljungdahl経路は、図3(図1および2も参照)に図示されているが、重要な代謝中間体アセチルCoAの生成を通して唯一の炭素源およびエネルギー源としてCOを利用するアセテート生成菌の能力を示す。具体的には、COを酸化して還元当量およびCO2を生成することができ、またはアセチルCoAに直接に同化することができ、それはバイオマスまたは代謝産物にその後変換される。重要なことに、アセチルCoAは広範囲の代謝産物および他の化学成分(chemical entity)の前駆体の役目を果たすことができる、重要な代謝中間体である。したがって、合成ガスまたは他のガス状炭素源からアセチルCoAを生成する微生物の能力は、所望の生成物としての広範囲の化学物質および燃料の生成のために、合成ガス利用生物体、または他のガス状炭素源を利用することができる生物体の設計製作を可能にする。] 図1 図3 [0087] 発酵による化学物質および燃料の商業生産のための存続可能なフィードストックとしての合成ガスまたは他のガス状炭素源の使用を特徴付けるために、現行システムに関連する重要な問題および難題に対処するために実行可能性調査を実施する。予備代謝モデル化研究は、化学物質への合成ガスの変換が熱力学的に非常に好ましいものであること、および特定の化学物質を独占的生成物として作製することができることを示した。このことは、下流での処理の必要性を減少させるだけでなく、生成物の収率を最大にする。さらに、所望により、発酵を連続的に行うことができるように、所望の生成物の生成を増殖と関連させてもよい。連続法は高い細胞濃度に維持され、バッチターンアラウンド時間を回避するので、それらは経済的により好ましい。] [0088] 本明細書で開示されるように、本発明は合成ガスまたは他のガス状炭素源を利用することができ、高い収率、力価および生産性での化学生成物へのCOおよび/またはCO2の効率的な変換を可能にする微生物の開発に関する。1つの例示的な有用な商業的実施形態は、理論最大値の80%以上の収率、50g/L以上の生成物許容度、50g/L以上の力価および少なくとも2g/L/時間の生産性による特定の化学物質の生成を達成することができる生物体の開発に関する。これらの基準は商業上特に有用であるが、これらのいずれかまたは全部の基準未満を達成することができる生物体も、本発明で有用であるものと理解される。例えば、所望の用途のために十分な収率が達成される限り、生物体は、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%などのいずれか以上の収率で特定の化学物質の生成を達成してもよい。同様に、所望の用途のために十分な収率が達成される限り、生物体は、45g/L、40g/L、35g/L、30g/L、25g/L、20g/L、15g/L、10g/Lなどのいずれか以上の生成物許容度を達成することができる。さらに、所望の用途のために十分な収率が達成される限り、生物体は、200g/L、190g/L、180g/L、170g/L、160g/L、150g/L、140g/L、130g/L、120g/L、110g/L、100g/L、90g/L、80g/L、70g/L、60g/L、50g/L、45g/L、40g/L、35g/L、30g/L、25g/L、20g/L、15g/L、10g/Lなどのいずれか以上の力価を達成することができる。さらに、所望の用途のために十分な収率が達成される限り、生物体は、1.5g/L/時間、1g/L/時間、0.5g/L/時間などの少なくともいずれかの生産性を達成することができる。] [0089] 本明細書で開示されるように、合成ガス利用からの生成物としてのブタノールの仮説分析は、フィードストックとして安くて容易に入手できる合成ガスを効率的に利用する能力が、特にフィードストックとしての合成ガスの低い費用からみて、現在の石油化学プロセスよりもおそらく50%以上費用的に有利であるプロセスをもたらすことができることを示す。低い費用に加えて、合成ガスは、石炭、ならびにスイッチグラスなどのエネルギー作物だけでなく廃棄物、例えば木屑、農業廃棄物、酪農廃棄物および都市ごみを含む多くの型のバイオマスから生成することができる、豊富で柔軟な基質である。したがって、合成ガスまたは他のガス状炭素源を利用して所望の生成物を生成することができる生物体を生成する能力は、ほとんどいかなるバイオマス源からの生成をも可能にする。この特徴は、生物燃料または化学物質の生成のために用いられる各タイプのバイオマスに特異な、異なるプロセスを開発することを不要にする。合成ガスの生成のための廃棄物の使用は、環境汚染物を減少させ、生物廃棄物の深刻な処理問題を軽減するために利用することもできる。さらに、フィードストックとしての合成ガスは、例えば、トウモロコシ由来のエタノール生産に関連するフィード対燃料論争とは無縁である。合成ガス生成で利用可能な広範囲の基質を考慮すると、このフィードストックの供給および経費構造は、経年的に比較的安定なままであることが予想される。最後に、合成ガスは加熱およびエネルギーのために広く用いられ、したがって、生産のための石油系エネルギーの必要性を補うか除去することができる、バイオマス由来のエネルギー源として用いることができ、さらなる費用節約を提供する。] [0090] ブタノールを所望の生成物として本明細書の様々な実施形態で例示されているが、所望により、本発明の微生物によって生成することができる任意の生成物を生成することができ、生成物を生成するために利用することができるものと理解される。一般に、所望の生成物には、化学合成で有用な、または燃料として有用な炭化水素が含まれるが、これらに限定されない。例示的な所望の生成物には、それらに限定されないが、メタノール、エタノール、ブタノール、アセテート、ブチレート、ラクテート、スクシネート、4−ヒドロキシブチレート、1,4−ブタンジオールなどが含まれる。] [0091] 他の態様では、本発明は、4−ヒドロキシブチレートを生成するのに十分な量で発現される4−ヒドロキシブチレート(4−hydroxybutryate)経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むことができる4−ヒドロキシブチレート経路を有する天然に存在しない微生物の生物体を提供する。4−ヒドロキシブチレート経路の酵素には、アセトアセチルCoAチオラーゼ、3−ヒドロキシブチリル−CoAデヒドロゲナーゼ、クロトナーゼ、クロトニル−CoAヒドラターゼ、4−ヒドロキシブチリル−CoAトランスフェラーゼ、ホスホトランス−4−ヒドロキシブチリラーゼおよび4−ヒドロキシブチレートキナーゼを含めることができる。] [0092] さらに他の態様では、本発明は、1,4−ブタンジオールを生成するのに十分な量で発現される1,4−ブタンジオール経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含むことができる1,4−ブタンジオール経路を有する天然に存在しない微生物の生物体を提供する。1,4−ブタンジオール経路の酵素には、アセトアセチルCoAチオラーゼ、3−ヒドロキシブチリル−CoAデヒドロゲナーゼ、クロトナーゼ、クロトニル−CoAヒドラターゼ、4−ヒドロキシブチリル−CoAレダクターゼ(アルコール形成性)、4−ヒドロキシブチリル−CoAレダクターゼ(アルデヒド形成性)および1,4−ブタンジオールデヒドロゲナーゼを含めることができる。そのような生物体は、アセチルCoAを生成するのに十分な量で発現されるアセチルCoA経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を有するアセチルCoA経路を含むこともできる。アセチルCoA経路の酵素には、コリノイドタンパク質、メチルテトラヒドロ葉酸:コリノイドタンパク質メチルトランスフェラーゼ、コリノイド鉄−硫黄タンパク質、ニッケル−タンパク質アセンブリータンパク質、フェレドキシン、アセチルCoAシンターゼ、一酸化炭素デヒドロゲナーゼ、ピルビン酸フェレドキシンオキシドレダクターゼおよびヒドロゲナーゼを含めることができる。] [0093] さらに他の態様では、本発明は、1,4−ブタンジオールを生成するのに十分な量で発現される1,4−ブタンジオール経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含むことができる1,4−ブタンジオール経路を有する天然に存在しない微生物の生物体を提供する。1,4−ブタンジオール経路の酵素には、アセトアセチルCoAチオラーゼ、3−ヒドロキシブチリル−CoAデヒドロゲナーゼ、クロトナーゼ、クロトニル−CoAヒドラターゼ、4−ヒドロキシブチリル−CoAレダクターゼ(アルコール形成性)、4−ヒドロキシブチリル−CoAレダクターゼ(アルデヒド形成性)および1,4−ブタンジオールデヒドロゲナーゼを含めることができる。そのような生物体は、アセチルCoAを生成するのに十分な量で発現されるアセチルCoA経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性の核酸を含むアセチルCoA経路を含むこともできる。アセチルCoA経路の酵素には、アセチルCoAシンターゼ、ギ酸デヒドロゲナーゼ、ホルミルテトラヒドロ葉酸シンテターゼ、メテニルテトラヒドロ葉酸シクロヒドロラーゼ、メチレンテトラヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼおよびメチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼを含めることができる。] [0094] さらなる態様では、本発明は、4−ヒドロキシブチレート経路を有する天然に存在しない微生物の生物体を培養することを含むことができる、4−ヒドロキシブチレートを生成する方法を提供する。前記経路は、4−ヒドロキシブチレートを生成する条件下およびそれに十分な期間、4−ヒドロキシブチレートを生成するのに十分な量で発現される4−ヒドロキシブチレート経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含むことができる。4−ヒドロキシブチレート経路は、アセトアセチルCoAチオラーゼ、3−ヒドロキシブチリル−CoAデヒドロゲナーゼ、クロトナーゼ、クロトニル−CoAヒドラターゼ、4−ヒドロキシブチリル−CoAトランスフェラーゼ、ホスホトランス−4−ヒドロキシブチリラーゼおよび4−ヒドロキシブチレートキナーゼを含むことができる。] [0095] さらに他の態様では、本発明は、1,4−ブタンジオール経路を有する天然に存在しない微生物の生物体を培養することを含むことができる、1,4−ブタンジオールを生成する方法を提供する。前記経路は、1,4−ブタンジオールを生成する条件下およびそれに十分な期間、1,4−ブタンジオールを生成するのに十分な量で発現される1,4−ブタンジオール経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含むことができる。1,4−ブタンジオール経路は、アセトアセチルCoAチオラーゼ、3−ヒドロキシブチリル−CoAデヒドロゲナーゼ、クロトナーゼ、クロトニル−CoAヒドラターゼ、4−ヒドロキシブチリル−CoAレダクターゼ(アルコール形成性)、4−ヒドロキシブチリル−CoAレダクターゼ(アルデヒド形成性)、1,4−ブタンジオールデヒドロゲナーゼを含むことができる。そのような生物体は、アセチルCoAを生成するのに十分な量で発現されるアセチルCoA経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含むアセチルCoA経路を含むこともできる。アセチルCoA経路の酵素には、コリノイドタンパク質、メチルテトラヒドロ葉酸:コリノイドタンパク質メチルトランスフェラーゼ、コリノイド鉄−硫黄タンパク質、ニッケル−タンパク質アセンブリータンパク質、フェレドキシン、アセチルCoAシンターゼ、一酸化炭素デヒドロゲナーゼ、ピルビン酸フェレドキシンオキシドレダクターゼおよびヒドロゲナーゼを含めることができる。] [0096] 最後に一部の態様では、本発明は、1,4−ブタンジオール経路を有する天然に存在しない微生物の生物体を培養することを含むことができる、1,4−ブタンジオールを生成する方法を提供する。前記経路は、1,4−ブタンジオールを生成する条件下およびそれに十分な期間、1,4−ブタンジオールを生成するのに十分な量で発現される1,4−ブタンジオール経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含むことができる。1,4−ブタンジオール経路は、アセトアセチルCoAチオラーゼ、3−ヒドロキシブチリル−CoAデヒドロゲナーゼ、クロトナーゼ、クロトニル−CoAヒドラターゼ、4−ヒドロキシブチリル−CoAレダクターゼ(アルコール形成性)、4−ヒドロキシブチリル−CoAレダクターゼ(アルデヒド形成性)および1,4−ブタンジオールデヒドロゲナーゼを含むことができる。そのような生物体は、アセチルCoAを生成するのに十分な量で発現されるアセチルCoA経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を有するアセチルCoA経路を含むこともできる。アセチルCoA経路の酵素には、アセチルCoAシンターゼ、ギ酸デヒドロゲナーゼ、ホルミルテトラヒドロ葉酸シンテターゼ、メテニルテトラヒドロ葉酸シクロヒドロラーゼ、メチレンテトラヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼおよびメチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼを含めることができる。] [0097] 他の実施形態では、図11に表すように、本発明の生物体は、機能的メチルトランスフェラーゼ系、アセチルCoAを合成する能力、およびアセチルCoAから4−HBを合成する能力を有する。本明細書に記載のさらに他の生物体は、図12に表す、機能的メチルトランスフェラーゼ系、アセチルCoAを合成する能力、およびアセチルCoAからBDOを合成する能力を有する。] 図11 図12 [0098] 本発明は、4−ヒドロキシブチレートを生成するのに十分な量で発現される4−ヒドロキシブチレート経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含むことができる4−ヒドロキシブチレート経路を有する天然に存在しない微生物の生物体も提供する。4−ヒドロキシブチレート経路の酵素には、アセトアセチルCoAチオラーゼ、3−ヒドロキシブチリル−CoAデヒドロゲナーゼ、クロトナーゼ、クロトニル−CoAヒドラターゼ、4−ヒドロキシブチリル−CoAトランスフェラーゼ、ホスホトランス−4−ヒドロキシブチリラーゼおよび4−ヒドロキシブチレートキナーゼを含めることができる。] [0099] そのような生物体は、コリノイドタンパク質、メチルテトラヒドロ葉酸:コリノイドタンパク質メチルトランスフェラーゼ、コリノイド鉄−硫黄タンパク質、ニッケル−タンパク質アセンブリータンパク質、フェレドキシン、アセチルCoAシンターゼ、一酸化炭素デヒドロゲナーゼ、ピルビン酸フェレドキシンオキシドレダクターゼおよびヒドロゲナーゼなどの少なくとも1つの酵素またはポリペプチドを含むこともできる。] [0100] 一部の実施形態では、4−ヒドロキシブチレート経路を有する生物体は、メタノールメチルトランスフェラーゼを含むことができる。そのような生物体は、1)メタノールおよびCO、2)メタノール、CO2およびH2、3)メタノール、CO、CO2およびH2、4)メタノール、ならびにCOおよびH2を含む合成ガス、ならびに5)メタノール、ならびにCO、CO2およびH2を含む合成ガスなどのフィードストックを利用する。] [0101] 4−ヒドロキシブチレート経路を有する他の生物体は、ギ酸デヒドロゲナーゼ、ホルミルテトラヒドロ葉酸シンテターゼ、メテニルテトラヒドロ葉酸シクロヒドロラーゼ、メチレンテトラヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼおよびメチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼを有することができる。そのような生物体は、1)CO、2)CO2およびH2、3)COおよびCO2、4)COおよびH2を含む合成ガス、5)CO、CO2およびH2を含む合成ガスなどのフィードストックを利用する。] [0102] 本発明は、1,4−ブタンジオールを生成するのに十分な量で発現される1,4−ブタンジオール経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含むことができる1,4−ブタンジオール経路を有する天然に存在しない微生物の生物体も提供する。1,4−ブタンジオール経路の酵素には、例えばアセトアセチルCoAチオラーゼ、3−ヒドロキシブチリル−CoAデヒドロゲナーゼ、クロトナーゼ、クロトニル−CoAヒドラターゼ、4−ヒドロキシブチリル−CoAレダクターゼ(アルコール形成性)、4−ヒドロキシブチリル−CoAレダクターゼ(アルデヒド形成性)および1,4−ブタンジオールデヒドロゲナーゼが含まれる。] [0103] そのような生物体は、コリノイドタンパク質、メチルテトラヒドロ葉酸:コリノイドタンパク質メチルトランスフェラーゼ、コリノイド鉄−硫黄タンパク質、ニッケル−タンパク質アセンブリータンパク質、フェレドキシン、アセチルCoAシンターゼ、一酸化炭素デヒドロゲナーゼ、ピルビン酸フェレドキシンオキシドレダクターゼおよびヒドロゲナーゼなどの少なくとも1つの酵素またはポリペプチドを含むこともできる。] [0104] 一部の実施形態では、1,4−ブタンジオール経路を有する生物体は、メタノールメチルトランスフェラーゼを含むことができる。そのような生物体は、1)メタノールおよびCO、2)メタノール、CO2およびH2、3)メタノール、CO、CO2およびH2、4)メタノール、ならびにCOおよびH2を含む合成ガス、5)メタノール、ならびにCO、CO2およびH2を含む合成ガスなどのフィードストックを利用する。] [0105] 他の実施形態では、1,4−ブタンジオール経路を有する生物体は、ギ酸デヒドロゲナーゼ、ホルミルテトラヒドロ葉酸シンテターゼ、メテニルテトラヒドロ葉酸シクロヒドロラーゼ、メチレンテトラヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼおよびメチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼを含むことができる。そのような生物体は、1)CO、2)CO2およびH2、3)COおよびCO2、4)COおよびH2を含む合成ガス、ならびに5)CO、CO2およびH2を含む合成ガスからなる群から選択されるフィードストックを利用する。] [0106] 本発明の例示的な微生物の生物体は、図13に表すような経路を含むことができる。そのような生物体は、Wood−Ljungdahl経路の機能的メチル分岐、アセチルCoAを合成する能力、およびアセチルCoAから4−ヒドロキシブチレートを合成する能力を含むことができる。本発明の別の例示的な微生物の生物体は、図14に表すような経路を含むことができる。そのような微生物の生物体は、Wood−Ljungdahl経路の機能的メチル分岐、アセチルCoAを合成する能力、およびアセチルCoAから1,4−ブタンジオールを合成する能力を含むことができる。] 図13 図14 [0107] より良好な生産体を生成するために、代謝モデル化を利用して増殖条件を最適化することができる。モデル化を用いて、経路の利用をさらに最適化する遺伝子ノックアウトを設計することもできる(例えば、米国特許公開US2002/0012939、US2003/0224363、US2004/0029149、US2004/0072723、US2003/0059792、US2002/0168654およびUS2004/0009466、ならびに米国特許第7,127,379号を参照)。モデル化分析は、細胞増殖に及ぼす、アセチルCoAまたはアセチルCoAから誘導される生成物のより効率的な生産への代謝の移行の影響の、信頼できる予測を可能にする。] [0108] 所望の生成物の生合成を有利にする代謝改変を特定し、設計するための1つのコンピュータ方法は、OptKnockコンピュータフレームワークである(Burgardら、Biotechnol. Bioeng. 84巻、647〜657頁(2003年))。OptKnockは、標的生成物を過剰に生産する遺伝的に安定した微生物をもたらす遺伝子欠失戦略を示唆する、代謝モデル化およびシミュレーションプログラムである。具体的には、フレームワークは、所望の生化学物質を細胞増殖の必須の副産物になるように強制する遺伝子操作を示唆するために、微生物の完全な代謝ネットワークおよび/または生化学ネットワークを調べる。戦略的に置かれた遺伝子欠失または他の機能的遺伝子破壊を通して生化学的生成を細胞増殖と連結することによって、バイオリアクター内での長期間の後に設計製作された株に加えられる増殖淘汰圧は、強制的な増殖連結型の生化学的生成の結果として、性能の改善をもたらす。最後に、遺伝子欠失が構築されると、OptKnockによって選択された遺伝子はゲノムから完全に除去されるので、設計された株がそれらの野生型状態に戻る可能性はごくわずかである。したがって、このコンピュータ方法は、所望の生成物の生合成をもたらす代替経路を特定するために用いること、または所望の生成物の生合成のさらなる最適化のために、天然に存在しない微生物の生物体と共に用いることができる。] [0109] 簡単に述べると、OptKnockは細胞代謝のモデル化のためのコンピュータによる方法およびシステムを指すために本明細書で用いられる用語である。OptKnockプログラムは、特定の制約をフラックスバランス分析(FBA)モデルに組み込む、モデルおよび方法のフレームワークに関する。これらの制約には、例えば、定性的動態学情報、定性的調節情報および/またはDNAマイクロアレイ実験データが含まれる。OptKnockは、例えばフラックスバランスモデルを通して誘導されるフラックス境界を締め、その後、遺伝子付加または欠失の存在下で代謝ネットワークの性能限界を調査することによって、様々な代謝問題の解法も計算する。OptKnockコンピュータフレームワークは、代謝ネットワークの性能限界の効果的なクエリーを可能にするモデル式の構築を可能にし、生じる混合整数線形計画法の問題を解決する方法を提供する。OptKnockとして本明細書で言及される代謝モデル化およびシミュレーション法は、例えば、2002年1月10日に出願の米国特許公開第2002/0168654号、2002年1月10日に出願の国際特許PCT/US02/00660、および2007年8月10日に出願の米国特許出願第11/891,602号、およびWO/2008/115840に記載されている。] [0110] 生成物の生合成生成を有利にする代謝改変を特定および設計するための別のコンピュータ方法は、SimPheny(登録商標)と呼ばれる代謝モデル化およびシミュレーションシステムである。このコンピュータ方法およびシステムは、例えば、2002年6月14日に出願の米国特許公開2003/0233218および2003年6月13日に出願の国際特許出願PCT/US03/18838に記載されている。SimPheny(登録商標)は、コンピュータでネットワークモデルを生成し、生物系の化学反応を通して質量、エネルギーまたは電荷のフラックスをシミュレートして、その系の化学反応の任意のまたは全ての可能な機能を含む解空間を定義し、それによってその生物系に許される様々な活性を決定するために用いることができるコンピュータシステムである。この手法は制約に基づくモデル化と称されるが、その理由は、含まれる反応の公知の化学量などの制約、ならびに反応を通して最大フラックスに関連する熱力学反応および容量制約によって解空間が定義されるからである。これらの制約によって定義される空間を調べて、生物系またはその生化学成分の表現型能力および挙動を決定することができる。] [0111] 生物系は柔軟であり、多くの異なる方法で同じ結果に到達することができるので、これらのコンピュータ手法は生物実体と調和している。生物系は、全ての生物系が直面しなければならない基本的な制約によって制限されている進化機構を通して設計される。したがって、制約に基づくモデル化戦略は、これらの一般的な実体を包含する。さらに、制約の締め付けを通してさらなる制限をネットワークモデルに連続的に加える能力は、解空間のサイズの低下をもたらし、それによって、生理的性能または表現型を予測する精度を高める。] [0112] 本明細書で提供される教示および指針を考慮すると、当業者は、代謝モデル化およびシミュレーションのための様々なコンピュータフレームワークを適用して、宿主の微生物の生物体における所望の化合物の生合成を設計および実施することができる。そのような代謝モデル化およびシミュレーション方法には、例えば、SimPheny(登録商標)およびOptKnockのような上で例示したコンピュータシステムが含まれる。本発明の説明のために、モデル化およびシミュレーションのためのOptKnock計算フレームワークに関して、いくつかの方法を本明細書に記載する。当業者は、OptKnockを用いる代謝改変の特定、設計および実行を、そのような当技術分野で周知である他の代謝モデル化およびシミュレーションコンピュータフレームワークおよび方法のいずれかに適用する方法を知るであろう。] [0113] 上記の方法は、破壊する1セットの代謝反応を提供する。セット内の各反応の除去または代謝改変は、生物体の増殖期の間の必須の生成物として、所望の生成物をもたらすことができる。反応が知られているので、2層の(bilevel)OptKnock問題の解決は、反応セット内の各反応を触媒する1つまたは複数の酵素をコードする1つまたは複数の関連遺伝子も提供する。反応セットおよび各反応に関与する酵素をコードするそれらの対応遺伝子の同定は、一般に自動化されたプロセスであり、その反応と、酵素およびコード遺伝子の間の関係を有する反応データベースとの相関関係を通して達成される。] [0114] 同定されると、標的細胞または生物体において、所望の生成物の生成を達成するために破壊される反応セットが、セット内の各代謝反応をコードする少なくとも1つの遺伝子の機能的破壊によって実施される。反応セットの機能的破壊を達成する1つの特に有用な手段は、各コード遺伝子の欠失によるものである。しかし、一部の例では、例えば、突然変異、プロモーターもしくは調節因子のためのシス結合部位などの調節領域の欠失を含む他の遺伝子異常、またはいくつかの場所のいずれかにおけるコード配列の切断によって反応を破壊することが有益となることがある。例えば、生成物の連結の速やかな評価が所望され、または遺伝子復帰突然変異が起こる可能性がより低い場合、遺伝子セットの全体未満の欠失をもたらすこれらの後者の異常が有用なことがある。] [0115] 所望の生成物の増殖連結型の生合成を含む生合成をもたらすことができる破壊すべきさらなる反応セットまたは代謝改変をもたらす上記の2層のOptKnock問題のさらなる生産的解法を特定するために、整数カットと呼ばれる最適化法を実施することができる。この方法は、各反復での整数カットと呼ばれる追加の制約の組込みで、上に例示されるOptKnock問題を反復して解決することによって進行する。整数カット制約は、解決手法が、生成物生合成を増殖に不可避的に連結する任意の前の反復で特定されるものと正確に同じ反応セットを選択することを、効果的に防止する。例えば、前に特定された増殖連結型の代謝改変が破壊のための反応1、2および3を特定する場合、以下の制約は、その後の解法で同じ反応が同時に考慮されることを防止する。整数カット法は当技術分野で周知であり、例えば、Burgardら、Biotechnol. Prog. 17巻、791〜797頁(2001年)に記載されているのを見ることができる。代謝モデル化およびシミュレーションのためのOptKnockコンピュータフレームワークと組み合わせたそれらの使用に関して本明細書で記載される全ての方法と同様に、反復性コンピュータ分析でのリダンダンシーを減らす整数カット法は、例えばSimPheny(登録商標)を含む当技術分野で周知である他のコンピュータフレームワークとともに適用することもできる。] [0116] 本明細書で例示される方法は、所望の生成物を生合成的に生成する細胞および生物体の構築を可能にし、それには、特定された遺伝子改変を抱えるように設計製作された細胞または生物体の増殖への、標的生化学生成物の生成の必須の連結が含まれる。したがって、本明細書で記載されるコンピュータ方法は、OptKnockまたはSimPheny(登録商標)から選択されるコンピュータ方法によって特定される代謝改変の同定および実行を可能にする。代謝改変のセットには、例えば、1つまたは複数の生合成経路の酵素の付加および/または、例えば遺伝子欠失による破壊を含む1つまたは複数の代謝反応の機能的破壊を含めることができる。] [0117] 上記のように、OptKnock方法は、長期の増殖選択に曝した場合、突然変異体微生物ネットワークをコンピュータによって予測されるそれらの最大増殖表現型の方へ進化させることができるという前提で開発された。言い換えると、本手法は、選択圧の下で自己最適化する生物体の能力を導入する。OptKnockフレームワークは、ネットワーク化学量論に基づいて生化学的生成と細胞増殖との間の連結を強制する遺伝子欠失組合せの網羅的な列挙を可能にする。最適遺伝子/反応ノックアウトの同定は、生じたネットワークについての最適増殖の解法が対象とする生化学物質を過剰に生産するように活性反応セットを選択する、2層の最適化問題の解決を必要とする(Burgardら、Biotechnol. Bioeng. 84巻、647〜657頁(2003年))。] [0118] 前に例示され、例えば米国特許公開US2002/0012939、US2003/0224363、US2004/0029149、US2004/0072723、US2003/0059792、US2002/0168654およびUS2004/0009466、ならびに米国特許第7,127,379号に記載されるように、代謝経路に必要不可欠な遺伝子を同定するために、E.coli代謝のコンピュータ化学量論モデルを使用することができる。本明細書で開示されるように、OptKnock数学フレームワークを、所望の生成物の増殖連結型生成をもたらす正確な遺伝子欠失に適用することができる。さらに、2層のOptKnock問題の解決は、1セットの欠失だけを提供する。全ての意味がある解決、すなわち増殖連結型生成の形成をもたらすノックアウトの全セットを列挙するために、整数カットと呼ばれる最適化技術を実施することができる。これは、上記のように、各反復での整数カットと呼ばれる追加の制約の組込みでOptKnock問題を反復して解決することを必要とする。] [0119] 本発明の様々な実施形態の働きに実質的に影響を及ぼさない改変も、本明細書で提供される本発明の定義の範囲内で提供されるものと理解される。したがって、以下の実施例は本発明を例示するためのものであり、限定するものではない。] [0120] (実施例I) 合成ガス発酵のための生物体および経路 この実施例では、合成ガスを利用することができる生物体および例示的な経路について記載する。] [0121] 少なくとも30種の異なる生物体が長年にわたり単離され、合成ガスまたはCO、CO2およびH2などの合成ガスの成分で増殖することが示された(Henstraら、Curr. Opin. Biotechnol.、18巻、200〜206頁(2007年);Sipmaら、Crit. Rev. Biotechnol.、26巻、41〜65頁(2006年))。表1にそのような生物体の例ならびにそれらの増殖至適温度、増殖至適pH、倍加時間、生成物プロファイルおよび生理学的群などのそれらのいくつかの特性を示す。] [0122] ] [0123] Henstraら、Curr. Opin. Biotechnol.、18巻、200〜206頁(2007年);Sipmaら、Crit. Rev. Biotechnol.、26巻、41〜65頁(2006年)から転載 合成ガスの利用の検討に供する生物体の1つの種類は、72℃と高い温度に耐えることができるという理由から好熱性アセテート生成菌であり、これにより、汚染問題が低減し、蒸留によるブタノールなどの生成物の分離に伴う加熱コストが低くなるであろう。しかし、合成ガスからのアルコール生成は、好熱生物においていまだ実証されておらず、それらの主要な生成物は、水素、アセテートおよび/またはH2Sである。酢酸生成好熱性細菌の倍加時間も中温性アセテート生成菌より長かった。したがって、初期の試験は、これらの生物体が最も速い倍加時間を有し、合成ガスからアルコールを生成することが示されたので、ブタノールなどの望まれる生成物の生成用の中温性アセテート生成菌に焦点が絞られる。初期の特徴付けは、Clostridium ljungdahliiおよびClostridium carboxidivoransにおいて実施されている。全ての合成ガス利用生物体のうち、C.ljungdahliiは、その代謝能および至適発酵条件に関する実質的な一連の知識を保有する。C.carboxidivoransは、合成ガスでの増殖中に少量のブタノールを天然で生成することが示された(Henstraら、Curr. Opin. Biotechnol.、18巻、200〜206頁(2007年))。] [0124] いくつかの例示的な合成ガス利用生物体の代謝経路が公知である。合成ガスを利用する2つの例示的な経路を図1および2に示す。] 図1 [0125] C.ljungdahliiおよびC.carboxidivoransなどのアセテート生成菌は、ヘキソース糖から一酸化炭素までに及ぶいくつかの炭素源で増殖することができる。グルコースなどのヘキソースは、最初にエムデン・マイヤーホフ・パルナス(EMP)解糖によりピルベートに代謝され、これが次にピルビン酸:フェレドキシンオキシドレダクターゼによりアセチルCoAに変換される。アセチルCoAは、バイオマス前駆体を構築するのに用いることができ、あるいは、酢酸キナーゼおよびホスホトランスアセチラーゼによりエネルギーを生ずるアセテートに変換することができる。グルコースのアセテート、エネルギーおよび還元当量への総括的変換は、以下の通りである。] [0126] C6H12O6+4ADP+4Pi→2CH3COOH+2CO2+4ATP+8[H] アセテート生成菌は、以下のようにWood−Ljungdahl経路によりCO2をさらにアセテートに変換することによりレドックスバランスも維持しながら、グルコースのアセテートへの変換からより多くのエネルギーを取り出す。] [0127] 2CO2+8[H]+nADP+nPi→CH3COOH+nATP 多くのアセテート生成菌は、必要な還元当量を供給するために水素が存在する限り、グルコースの不在下でもWood−Ljungdahl経路によりCO2の存在下で増殖することができるので、上式の係数nは、この変換がエネルギー発生活動であることを意味している。] [0128] 2CO2+4H2+nADP+nPi→CH3COOH+2H2O+nATP 図3に示すWood−Ljungdahl経路は、それぞれNa+またはH+依存性ATPシンターゼによりATPを生成し得るNa+またはH+のイオン勾配の形成と連結している(Muller、Appl. Environ. Microbiol.、69巻、6345〜6353頁(2003年))。これらの公知の形質転換に基づいて、アセテート生成菌は、唯一の炭素およびエネルギーの源としてCOを利用する能力も有する。特に、COは、酸化されて、還元当量およびCO2を生成するか、または後にバイオマスもしくはアセテートに変換されるアセチルCoAへと直接同化され得る。] 図3 [0129] 4CO+2H2O→CH3COOH+2CO2 しかし、還元当量の要件を満たすのに十分な水素が存在する場合に、より高いアセテートの収率を達成することができる。] [0130] 2CO+2H2→CH3COOH 図3によれば、アセチルCoAによるアセテートの生成は、1つのATP分子を生成させるが、アセチルCoAからのエタノールの生成はそれを生成させず、2つの還元当量を必要とする。したがって、合成ガスからのエタノールの生成は、アセテートの生成が存在しない場合には細胞の増殖に十分なエネルギーを発生すると予想されない。しかし、特定の条件下では、Clostridium ljungdahliiは合成ガスから主としてエタノールを生成し(Klassonら、Fuel、72巻、1673〜1678頁(1993年))、以下の経路 2CO2+6H2→CH3CH2OH+3H2O 6CO+3H2O→CH3CH2OH+4CO2 2CO+4H2→CH3CH2OH+H2O のある組合せは、実際に細胞増殖を支えるのに十分なエネルギーを発生することが示唆される。R.rubrumなどの水素生成細菌もCOおよび水の水素への変換によりエネルギーを発生することもできる(図3を参照)(Sipmaら、Crit. Rev. Biotechnol.、26巻、41〜65頁(2006年))。重要なメカニズムは、エネルギー変換ヒドロゲナーゼ(ECH)およびCOデヒドロゲナーゼの協調作用である。COデヒドロゲナーゼは、COからの電子を供給し、これが次に、活性がエネルギー発生プロトントランスロケーションに連結される、ECHによりプロトンをH2に還元するのに用いられる。正味の結果は、水性ガス転化反応によるエネルギーの発生である。] 図3 [0131] 合成ガス発酵の生成物プロファイルは、生物体および実験条件の選択により決定される。例えば、Clostridium ljungdahliiは、エタノールとアセテートの混合物を生成する(Klassonら、Fuel、72巻、1673〜1678頁(1993年);GaddyおよびClausen、米国特許第5,173,429号)が、Clostridium carboxidivoransは、エタノール、アセテート、ブタノールおよびブチレートの混合物を生成する(Liouら、Int. J. Syst. Evol. Microbiol.、55巻(Pt5)、2085〜2091頁(2005年)。それぞれ26.8g/Lおよび12.4g/Lと高いアセテートおよびバイオマスの濃度、ならびに1g/Lを下回るエタノール濃度がC.ljungdahliiについて報告された(Gaddy、米国特許第5,807,722号、第6,136,577号、第6,340,581号)。しかし、この生成物プロファイルは、例えば、栄養制限、培地の変更、より低いpH、還元剤添加などを用いる、クロストリジウム属における酸の生成と比べて溶媒の生成を増加する伝統的な手段により、エタノール生成の増加の方向に移動させることができる。いくつかの条件、例えば、パントテン酸カルシウム制限、コバルト制限、H2過剰供給、CO過剰供給、アセテートの条件付けなどに対する生成物プロファイルの感受性が記載された(Gaddyら、米国特許第7,285,402号)。エタノールの生成について最適化された条件下で細胞リサイクルがない場合にC.ljungdahlii株C−01について、それぞれ33.0g/L、4.0g/Lおよび2.7g/Lのエタノール、アセテートおよび細胞の濃度が示された。最大のエタノール生産性は、細胞リサイクルがない場合の21g/L/日から細胞リサイクルがある場合の39g/L/日までの範囲にあった。] [0132] 阻害物質に対する合成ガス発酵の感受性も測定することができる。特定の生成物の生成のためにC.carboxidivoransの発酵条件を最適化する労力がより少ないこと(Liouら、Int. J. Syst. Evol. Microbiol.、55巻(Pt5)、2085〜2091頁(2005))が報告された。しかし、いくつかの最近の試験は、合成ガス阻害物質によるC.carboxidivoransの増殖の抑制を目的とするものであった。具体的には、CO、CO2、N2およびH2のみからなる「清浄な」シリンダー入り圧縮ガスを導入したとき増殖は回復したが、バイオマス生成のプロデューサーガスに存在する阻害物質がC.carboxidivoransの増殖およびH2の利用を停止させた(Datarら、Biotechnol. Bioeng.、86巻、587〜594頁(2004年))。ガスを0.025μmフィルターに通すことにより、H2利用は依然として阻害されていたが、細胞増殖を可能にするのに十分にガスが浄化された(Ahmedら、Biomass Bioenergy、30巻、665〜672頁(2006年))。フィルターの走査型電子顕微鏡分析により、灰ではなく、タール粒子が細胞休止をもたらす考え得る原因であったことが示された。可能なタール種は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、p−キシレン、o−キシレンおよびナフタレンと同定された。細胞は、0.2μmフィルターの後に存在するタールに10〜15日以内に順応することができた。H2利用がフィルターサイズに無関係に停止したという事実は、濾過されない成分がヒドロゲナーゼ酵素を阻害していたことを示すものであった。この成分は、後に一酸化窒素と同定された。NOは、≧60ppmレベルでヒドロゲナーゼを阻害する(AhmedおよびLewis、Biotechnol. Bioeng.、97巻、1080〜1086頁(2007年))。所望の生成物を生成する特定の生物体における合成ガスの利用の適切な条件を決定するために同様の試験を行うことができる。]
权利要求: 請求項1 天然に存在しない微生物であって、COおよびH2をアセチル補酵素A(アセチルCoA)に変換する経路を前記微生物に付与する1つまたは複数の外因性タンパク質を含み、前記1つまたは複数の外因性タンパク質の不在下でCOおよびH2をアセチルCoAに変換する能力を欠く微生物。 請求項2 前記1つまたは複数の外因性タンパク質が、コバラミドコリノイド/鉄−硫黄タンパク質、メチルトランスフェラーゼ、一酸化炭素デヒドロゲナーゼ、アセチルCoAシンターゼ、アセチルCoAシンターゼジスルフィドレダクターゼおよびヒドロゲナーゼから選択される、請求項1に記載の天然に存在しない微生物。 請求項3 コバラミドコリノイド/鉄−硫黄タンパク質、メチルトランスフェラーゼ、一酸化炭素デヒドロゲナーゼ、アセチルCoAシンターゼ、アセチルCoAシンターゼジスルフィドレダクターゼおよびヒドロゲナーゼがそれぞれ発現される、請求項2に記載の天然に存在しない微生物。 請求項4 天然に存在しない微生物であって、COおよびH2を含む合成ガスをアセチル補酵素A(アセチルCoA)に変換する経路を前記微生物に付与する1つまたは複数の外因性タンパク質を含み、前記1つまたは複数の外因性タンパク質の不在下でCOおよびH2をアセチルCoAに変換する能力を欠く微生物。 請求項5 前記合成ガスがCO2をさらに含む、請求項4に記載の天然に存在しない微生物。 請求項6 1つまたは複数の外因性タンパク質が、コバラミドコリノイド/鉄−硫黄タンパク質、メチルトランスフェラーゼ、一酸化炭素デヒドロゲナーゼ、アセチルCoAシンターゼ、アセチルCoAシンターゼジスルフィドレダクターゼおよびヒドロゲナーゼから選択される、請求項5に記載の天然に存在しない微生物。 請求項7 コバラミドコリノイド/鉄−硫黄タンパク質、メチルトランスフェラーゼ、一酸化炭素デヒドロゲナーゼ、アセチルCoAシンターゼ、アセチルCoAシンターゼジスルフィドレダクターゼおよびヒドロゲナーゼがそれぞれ発現される、請求項6に記載の天然に存在しない微生物。 請求項8 天然に存在しない微生物であって、CO2およびH2をアセチル補酵素A(アセチルCoA)に変換する経路を前記微生物に付与する1つまたは複数の外因性タンパク質を含み、前記1つまたは複数の外因性タンパク質の不在下でCO2およびH2をアセチルCoAに変換する能力を欠く微生物。 請求項9 前記1つまたは複数の外因性タンパク質が、コバラミドコリノイド/鉄−硫黄タンパク質、メチルトランスフェラーゼ、一酸化炭素デヒドロゲナーゼ、アセチルCoAシンターゼ、アセチルCoAシンターゼジスルフィドレダクターゼおよびヒドロゲナーゼから選択される、請求項8に記載の天然に存在しない微生物。 請求項10 コバラミドコリノイド/鉄−硫黄タンパク質、メチルトランスフェラーゼ、一酸化炭素デヒドロゲナーゼ、アセチルCoAシンターゼ、アセチルCoAシンターゼジスルフィドレダクターゼおよびヒドロゲナーゼがそれぞれ発現される、請求項9に記載の天然に存在しない微生物。 請求項11 天然に存在しない微生物であって、COおよびH2をメチルテトラヒドロ葉酸(メチルTHF)に変換する経路を前記微生物に付与する1つまたは複数の外因性タンパク質を含み、前記1つまたは複数の外因性タンパク質の不在下でCOおよびH2をメチルTHFに変換する能力を欠く微生物。 請求項12 前記1つまたは複数の外因性タンパク質が、フェレドキシンオキシドレダクターゼ、ギ酸デヒドロゲナーゼ、ホルミルテトラヒドロ葉酸シンテターゼ、メテニルテトラヒドロ葉酸シクロデヒドラターゼ、メチレンテトラヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼおよびメチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼから選択される、請求項11に記載の天然に存在しない微生物。 請求項13 フェレドキシンオキシドレダクターゼ、ギ酸デヒドロゲナーゼ、ホルミルテトラヒドロ葉酸シンテターゼ、メテニルテトラヒドロ葉酸シクロデヒドラターゼ、メチレンテトラヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼおよびメチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼがそれぞれ発現される、請求項12に記載の天然に存在しない微生物。 請求項14 天然に存在しない微生物であって、COおよびH2を含む合成ガスをメチルテトラヒドロ葉酸(メチルTHF)に変換する経路を前記微生物に付与する1つまたは複数の外因性タンパク質を含み、前記1つまたは複数の外因性タンパク質の不在下でCOおよびH2をメチルTHFに変換する能力を欠く微生物。 請求項15 前記合成ガスがCO2をさらに含む、請求項14に記載の天然に存在しない微生物。 請求項16 1つまたは複数の外因性タンパク質が、フェレドキシンオキシドレダクターゼ、ギ酸デヒドロゲナーゼ、ホルミルテトラヒドロ葉酸シンテターゼ、メテニルテトラヒドロ葉酸シクロデヒドラターゼ、メチレンテトラヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼおよびメチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼから選択される、請求項15に記載の天然に存在しない微生物。 請求項17 フェレドキシンオキシドレダクターゼ、ギ酸デヒドロゲナーゼ、ホルミルテトラヒドロ葉酸シンテターゼ、メテニルテトラヒドロ葉酸シクロデヒドラターゼ、メチレンテトラヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼおよびメチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼがそれぞれ発現される、請求項16に記載の天然に存在しない微生物。 請求項18 天然に存在しない微生物であって、CO2およびH2をメチルテトラヒドロ葉酸(メチルTHF)に変換する経路を前記微生物に付与する1つまたは複数の外因性タンパク質を含み、前記1つまたは複数の外因性タンパク質の不在下でCO2およびH2をメチルTHFに変換する能力を欠く微生物。 請求項19 前記1つまたは複数の外因性タンパク質が、フェレドキシンオキシドレダクターゼ、ギ酸デヒドロゲナーゼ、ホルミルテトラヒドロ葉酸シンテターゼ、メテニルテトラヒドロ葉酸シクロデヒドラターゼ、メチレンテトラヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼおよびメチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼから選択される、請求項18に記載の天然に存在しない微生物。 請求項20 フェレドキシンオキシドレダクターゼ、ギ酸デヒドロゲナーゼ、ホルミルテトラヒドロ葉酸シンテターゼ、メテニルテトラヒドロ葉酸シクロデヒドラターゼ、メチレンテトラヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼおよびメチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼがそれぞれ発現される、請求項19に記載の天然に存在しない微生物。 請求項21 天然に存在しない微生物であって、CO2、COおよびH2、またはそれらの組合せからアセチルCoAを生成する遺伝子改変がない前記微生物と比べて、CO2、COおよびH2、またはそれらの組合せからアセチルCoAを生成する効率の増加を前記微生物に付与する遺伝子改変を含み、CO2、COおよびH2、またはそれらの組合せをアセチルCoAに変換する経路を含む微生物。 請求項22 前記遺伝子改変が1つまたは複数の外因性タンパク質をコードする1つまたは複数の核酸分子の発現を含み、それによって前記1つまたは複数の外因性タンパク質の発現がCO2、COおよびH2、またはそれらの組合せからアセチルCoAを生成する効率を高める、請求項21に記載の天然に存在しない微生物。 請求項23 前記1つまたは複数の外因性タンパク質が、コバラミドコリノイド/鉄−硫黄タンパク質、メチルトランスフェラーゼ、一酸化炭素デヒドロゲナーゼ、アセチルCoAシンターゼ、アセチルCoAシンターゼジスルフィドレダクターゼおよびヒドロゲナーゼから選択される、請求項22に記載の天然に存在しない微生物。 請求項24 コバラミドコリノイド/鉄−硫黄タンパク質、メチルトランスフェラーゼ、一酸化炭素デヒドロゲナーゼ、アセチルCoAシンターゼ、アセチルCoAシンターゼジスルフィドレダクターゼおよびヒドロゲナーゼがそれぞれ発現される、請求項23に記載の天然に存在しない微生物。 請求項25 天然に存在しない微生物の生物体であって、アセチル補酵素A(アセチルCoA)を生成するのに十分な量で発現されるアセチルCoA経路の酵素またはタンパク質をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含むアセチルCoA経路を有する微生物の生物体を含み、前記アセチルCoA経路が、メタノール−メチルトランスフェラーゼおよびアセチルCoAシンターゼ/一酸化炭素デヒドロゲナーゼを含む微生物の生物体。 請求項26 前記アセチルCoA経路が、CO2、COもしくはH2、またはそれらの組合せ、およびメタノールをアセチルCoAに変換する能力を付与する、請求項25に記載の天然に存在しない微生物の生物体。 請求項27 前記メタノール−メチルトランスフェラーゼが、メタノールメチルトランスフェラーゼ、コリノイドタンパク質およびメチルテトラヒドロ葉酸:コリノイドタンパク質メチルトランスフェラーゼから選択される酵素またはタンパク質を含む、請求項25に記載の天然に存在しない微生物の生物体。 請求項28 前記アセチルCoAシンターゼ/一酸化炭素デヒドロゲナーゼが、メチルテトラヒドロ葉酸:コリノイドタンパク質メチルトランスフェラーゼ、コリノイド鉄−硫黄タンパク質、ニッケル−タンパク質アセンブリータンパク質、フェレドキシン、アセチルCoAシンターゼ、一酸化炭素デヒドロゲナーゼおよびニッケル−タンパク質アセンブリータンパク質から選択される酵素またはタンパク質を含む、請求項25に記載の天然に存在しない微生物の生物体。 請求項29 前記メタノール−メチルトランスフェラーゼが、メタノールメチルトランスフェラーゼ、コリノイドタンパク質およびメチルテトラヒドロ葉酸:コリノイドタンパク質メチルトランスフェラーゼから選択される酵素またはタンパク質を含み、前記アセチルCoAシンターゼ/一酸化炭素デヒドロゲナーゼが、メチルテトラヒドロ葉酸:コリノイドタンパク質メチルトランスフェラーゼ、コリノイド鉄−硫黄タンパク質、ニッケル−タンパク質アセンブリータンパク質、フェレドキシン、アセチルCoAシンターゼ、一酸化炭素デヒドロゲナーゼおよびニッケル−タンパク質アセンブリータンパク質から選択される酵素またはタンパク質を含む、請求項25に記載の天然に存在しない微生物の生物体。 請求項30 それぞれアセチルCoA経路の酵素またはタンパク質をコードする2つの外因性核酸を含む、請求項25に記載の天然に存在しない微生物の生物体。 請求項31 それぞれアセチルCoA経路の酵素またはタンパク質をコードする3つの外因性核酸を含む、請求項25に記載の天然に存在しない微生物の生物体。 請求項32 それぞれアセチルCoA経路の酵素またはタンパク質をコードする4つの外因性核酸を含む、請求項25に記載の天然に存在しない微生物の生物体。 請求項33 それぞれアセチルCoA経路の酵素またはタンパク質をコードする5つの外因性核酸を含む、請求項25に記載の天然に存在しない微生物の生物体。 請求項34 それぞれアセチルCoA経路の酵素またはタンパク質をコードする6つの外因性核酸を含む、請求項25に記載の天然に存在しない微生物の生物体。 請求項35 それぞれアセチルCoA経路の酵素またはタンパク質をコードする7つの外因性核酸を含む、請求項25に記載の天然に存在しない微生物の生物体。 請求項36 それぞれアセチルCoA経路の酵素またはタンパク質をコードする8つの外因性核酸を含む、請求項25に記載の天然に存在しない微生物の生物体。 請求項37 それぞれアセチルCoA経路の酵素またはタンパク質をコードする9つの外因性核酸を含む、請求項25に記載の天然に存在しない微生物の生物体。 請求項38 それぞれアセチルCoA経路の酵素またはタンパク質をコードする10個の外因性核酸を含む、請求項25に記載の天然に存在しない微生物の生物体。 請求項39 前記10個の外因性核酸が、メタノールメチルトランスフェラーゼ、コリノイドタンパク質およびメチルテトラヒドロ葉酸:コリノイドタンパク質メチルトランスフェラーゼを含むメタノールメチルトランスフェラーゼをコードし、ならびにメチルテトラヒドロ葉酸:コリノイドタンパク質メチルトランスフェラーゼ、コリノイド鉄−硫黄タンパク質、ニッケル−タンパク質アセンブリータンパク質、フェレドキシン、アセチルCoAシンターゼ、一酸化炭素デヒドロゲナーゼおよびニッケル−タンパク質アセンブリータンパク質を含むアセチルCoAシンターゼ/一酸化炭素デヒドロゲナーゼをコードする、請求項38に記載の天然に存在しない微生物の生物体。 請求項40 前記少なくとも1つの外因性核酸が異種の核酸である、請求項25に記載の天然に存在しない微生物の生物体。 請求項41 実質的に嫌気性の培地中にある、請求項25に記載の天然に存在しない微生物の生物体。 請求項42 ピルビン酸フェレドキシンオキシドレダクターゼをさらに含む、請求項25に記載の天然に存在しない微生物の生物体。 請求項43 ピルビン酸フェレドキシンオキシドレダクターゼが外因性核酸によってコードされる、請求項42に記載の天然に存在しない微生物の生物体。 請求項44 ヒドロゲナーゼをさらに含む、請求項25に記載の天然に存在しない微生物の生物体。 請求項45 前記ヒドロゲナーゼが内因性核酸によってコードされる、請求項44に記載の天然に存在しない微生物の生物体。 請求項46 前記ヒドロゲナーゼが外因性核酸によってコードされる、請求項44に記載の天然に存在しない微生物の生物体。 請求項47 アセチルCoAを生成する方法であって、アセチルCoA経路を有する天然に存在しない微生物の生物体を培養する工程を含み、前記経路が、アセチルCoAを生成する条件下およびアセチルCoAを生成するのに十分な期間、アセチルCoAを生成するのに十分な量で発現されるアセチルCoA経路の酵素またはタンパク質をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含み、前記アセチルCoA経路が、メタノール−メチルトランスフェラーゼおよびアセチルCoAシンターゼ/一酸化炭素デヒドロゲナーゼを含む方法。 請求項48 前記メタノール−メチルトランスフェラーゼが、メタノールメチルトランスフェラーゼ、コリノイドタンパク質およびメチルテトラヒドロ葉酸:コリノイドタンパク質メチルトランスフェラーゼから選択される酵素またはタンパク質を含む、請求項47に記載の方法。 請求項49 前記アセチルCoAシンターゼ/一酸化炭素デヒドロゲナーゼが、メチルテトラヒドロ葉酸:コリノイドタンパク質メチルトランスフェラーゼ、コリノイド鉄−硫黄タンパク質、ニッケル−タンパク質アセンブリータンパク質、フェレドキシン、アセチルCoAシンターゼ、一酸化炭素デヒドロゲナーゼおよびニッケル−タンパク質アセンブリータンパク質から選択される酵素またはタンパク質を含む、請求項47に記載の方法。 請求項50 前記メタノール−メチルトランスフェラーゼが、メタノールメチルトランスフェラーゼ、コリノイドタンパク質およびメチルテトラヒドロ葉酸:コリノイドタンパク質メチルトランスフェラーゼから選択される酵素またはタンパク質を含み、前記アセチルCoAシンターゼ/一酸化炭素デヒドロゲナーゼが、メチルテトラヒドロ葉酸:コリノイドタンパク質メチルトランスフェラーゼ、コリノイド鉄−硫黄タンパク質、ニッケル−タンパク質アセンブリータンパク質、フェレドキシン、アセチルCoAシンターゼ、一酸化炭素デヒドロゲナーゼおよびニッケル−タンパク質アセンブリータンパク質から選択される酵素またはタンパク質を含む、請求項47に記載の方法。 請求項51 前記天然に存在しない微生物の生物体が実質的に嫌気性の培地中に存在する、請求項47に記載の方法。 請求項52 前記天然に存在しない微生物の生物体が、CO2、COまたはH2、またはそれらの組合せ、およびメタノールの存在下で培養される、請求項51に記載の方法。 請求項53 前記微生物の生物体が、それぞれアセチルCoA経路の酵素またはタンパク質をコードする2つの外因性核酸を含む、請求項47に記載の方法。 請求項54 前記微生物の生物体が、それぞれアセチルCoA経路の酵素またはタンパク質をコードする3つの外因性核酸を含む、請求項47に記載の方法。 請求項55 前記微生物の生物体が、それぞれアセチルCoA経路の酵素またはタンパク質をコードする4つの外因性核酸を含む、請求項47に記載の方法。 請求項56 前記微生物の生物体が、それぞれアセチルCoA経路の酵素またはタンパク質をコードする5つの外因性核酸を含む、請求項47に記載の方法。 請求項57 前記微生物の生物体が、それぞれアセチルCoA経路の酵素またはタンパク質をコードする6つの外因性核酸を含む、請求項47に記載の方法。 請求項58 前記微生物の生物体が、それぞれアセチルCoA経路の酵素またはタンパク質をコードする7つの外因性核酸を含む、請求項47に記載の方法。 請求項59 前記微生物の生物体が、それぞれアセチルCoA経路の酵素またはタンパク質をコードする8つの外因性核酸を含む、請求項47に記載の方法。 請求項60 前記微生物の生物体が、それぞれアセチルCoA経路の酵素またはタンパク質をコードする9つの外因性核酸を含む、請求項47に記載の方法。 請求項61 前記微生物の生物体が、それぞれアセチルCoA経路の酵素またはタンパク質をコードする10個の外因性核酸を含む、請求項47に記載の方法。 請求項62 前記10個の外因性核酸が、メタノールメチルトランスフェラーゼ、コリノイドタンパク質およびメチルテトラヒドロ葉酸:コリノイドタンパク質メチルトランスフェラーゼを含むメタノールメチルトランスフェラーゼをコードし、ならびにメチルテトラヒドロ葉酸:コリノイドタンパク質メチルトランスフェラーゼ、コリノイド鉄−硫黄タンパク質、ニッケル−タンパク質アセンブリータンパク質、フェレドキシン、アセチルCoAシンターゼ、一酸化炭素デヒドロゲナーゼおよびニッケル−タンパク質アセンブリータンパク質を含むアセチルCoAシンターゼ/一酸化炭素デヒドロゲナーゼをコードする、請求項61に記載の方法。 請求項63 前記少なくとも1つの外因性核酸が異種の核酸である、請求項47に記載の方法。 請求項64 前記天然に存在しない微生物の生物体がピルビン酸フェレドキシンオキシドレダクターゼをさらに含む、請求項47に記載の方法。 請求項65 ピルビン酸フェレドキシンオキシドレダクターゼが外因性核酸によってコードされる、請求項64に記載の方法。 請求項66 前記天然に存在しない微生物の生物体がヒドロゲナーゼをさらに含む、請求項47に記載の方法。 請求項67 前記ヒドロゲナーゼが内因性核酸によってコードされる、請求項66に記載の方法。 請求項68 前記ヒドロゲナーゼが外因性核酸によってコードされる、請求項66に記載の方法。 請求項69 前記天然に存在しない微生物の生物体が、ニトレートの存在下で培養される、請求項51に記載の方法。 請求項70 天然に存在しない微生物の生物体であって、4−ヒドロキシブチレート(4−hydroxybutryate)を生成するのに十分な量で発現される4−ヒドロキシブチレート(4−hydroxybutryate)経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含む4−ヒドロキシブチレート(4−hydroxybutryate)経路を有する微生物の生物体を含み、前記4−ヒドロキシブチレート(4−hydroxybutryate)経路の酵素が、アセトアセチルCoAチオラーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoAデヒドロゲナーゼ、クロトナーゼ、クロトニルCoAヒドラターゼ、4−ヒドロキシブチリルCoAトランスフェラーゼ、ホスホトランス−4−ヒドロキシブチリラーゼおよび4−ヒドロキシブチレートキナーゼを含む微生物の生物体。 請求項71 前記アセトアセチルCoAチオラーゼが、atoB、thlA、thlBおよびerg10からなる群から選択される遺伝子によってコードされる、請求項70に記載の生物体。 請求項72 前記3−ヒドロキシブチリルCoAデヒドロゲナーゼが、hbd、msed_1423、msed_0399、msed_0389およびmsed_1933からなる群から選択される遺伝子によってコードされる、請求項70に記載の生物体。 請求項73 前記クロトナーゼが、crt、paaA、paaB、phaA、phaB、maoC、paaFおよびpaaGからなる群から選択される遺伝子によってコードされる、請求項70に記載の生物体。 請求項74 前記クロトニルCoAヒドラターゼが、abfD、msed_1321およびmsed_1220からなる群から選択される遺伝子によってコードされる、請求項70に記載の生物体。 請求項75 前記4−ヒドロキシブチリルCoAトランスフェラーゼが、cat2、abfT−2、abfT−1およびabfTからなる群から選択される遺伝子によってコードされる、請求項70に記載の生物体。 請求項76 前記ホスホトランス−4−ヒドロキシブチリラーゼが、ptaおよびptbからなる群から選択される遺伝子によってコードされる、請求項70に記載の生物体。 請求項77 前記4−ヒドロキシブチレートキナーゼが、ackA、buk1、buk2およびproBからなる群から選択される遺伝子によってコードされる、請求項70に記載の生物体。 請求項78 コリノイドタンパク質、メチルテトラヒドロ葉酸:コリノイドタンパク質メチルトランスフェラーゼ、コリノイド鉄−硫黄タンパク質、ニッケル−タンパク質アセンブリータンパク質、フェレドキシン、アセチルCoAシンターゼ、一酸化炭素デヒドロゲナーゼ、ピルビン酸フェレドキシンオキシドレダクターゼおよびヒドロゲナーゼからなる群から選択される少なくとも1つの酵素またはポリペプチドをさらに含む、請求項70に記載の生物体。 請求項79 前記コリノイドタンパク質が、mtaC、mtaC1、mtaC2およびmtaC3からなる群から選択される遺伝子によってコードされる、請求項78に記載の生物体。 請求項80 前記メチルテトラヒドロ葉酸:コリノイドタンパク質メチルトランスフェラーゼが、mtaAおよびmtaA1、mtaA2からなる群から選択される遺伝子によってコードされる、請求項78に記載の生物体。 請求項81 前記メチルテトラヒドロ葉酸:コリノイドタンパク質メチルトランスフェラーゼが、遺伝子acsEによってコードされる、請求項78に記載の生物体。 請求項82 前記コリノイド鉄−硫黄タンパク質が、遺伝子acsDによってコードされる、請求項78に記載の生物体。 請求項83 前記ニッケル−タンパク質アセンブリータンパク質が、acsFおよびcooCからなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子によってコードされる、請求項78に記載の生物体。 請求項84 前記フェレドキシンが、遺伝子orf7によってコードされる、請求項78に記載の生物体。 請求項85 前記アセチルCoAシンターゼが、acsBおよびacsCからなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子によってコードされる、請求項78に記載の生物体。 請求項86 前記一酸化炭素デヒドロゲナーゼが、遺伝子acsAによってコードされる、請求項78に記載の生物体。 請求項87 前記ピルビン酸フェレドキシンオキシドレダクターゼが、porおよびydbKからなる群から選択される遺伝子によってコードされる、請求項78に記載の生物体。 請求項88 前記ヒドロゲナーゼが、hypA、hypB、hypC、hypD、hypE、hypF、moth_2175、moth_2176、moth_2177、moth_2178、moth_2179、moth_2180、moth_2181、hycA、hycB、hycC、hycD、hycE、hycF、hycG、hycH、hycI、hyfA、hyfB、hyfC、hyfD、hyfE、hyfF、hyfG、hyfH、hyfI、hyfJ、hyfR、moth_2182、moth_2183、moth_2184、moth_2185、moth_2186、moth_2187、moth_2188、moth_2189、moth_2190、moth_2191、moth_2192、moth_0439、moth_0440、moth_0441、moth_0442、moth_0809、moth_0810、moth_0811、moth_0812、moth_0813、moth_0814、moth_0815、moth_0816、moth_1193、moth_1194、moth_1195、moth_1196、moth_1717、moth_1718、moth_1719、moth_1883、moth_1884、moth_1885、moth_1886、moth_1887、moth_1888、moth_1452、moth_1453およびmoth_1454からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子によってコードされる、請求項78に記載の生物体。 請求項89 遺伝子acsEpsによってコードされるポリペプチド(polypetide)AcsEpsをさらに含む、請求項78に記載の生物体。 請求項90 codh、codh−I、cooF、hypA、cooH、cooU、cooX、cooL、cooK、cooM、cooT、cooJおよびcodh−IIからなる群から選択される遺伝子によってコードされる少なくとも1つの酵素またはポリペプチドをさらに含む、請求項78に記載の生物体。 請求項91 メタノールメチルトランスフェラーゼをさらに含む、請求項78に記載の生物体。 請求項92 前記メタノールメチルトランスフェラーゼが、mtaB、mtaB1、mtaB2およびmtaB3からなる群から選択される遺伝子によってコードされる、請求項91に記載の生物体。 請求項93 1)メタノールおよびCO、2)メタノール、CO2およびH2、3)メタノール、CO、CO2およびH2、4)メタノール、ならびにCOおよびH2を含む合成ガス、5)メタノール、ならびにCO、CO2およびH2を含む合成ガスからなる群から選択されるフィードストックを利用する、請求項91に記載の生物体。 請求項94 ギ酸デヒドロゲナーゼ、ホルミルテトラヒドロ葉酸シンテターゼ、メテニルテトラヒドロ葉酸シクロヒドロラーゼ、メチレンテトラヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼおよびメチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼをさらに含む、請求項78に記載の生物体。 請求項95 前記ギ酸デヒドロゲナーゼが、moth_2312、moth_2313、moth_2314、sfum_2703、sfum_2704、sfum_2705、sfum_2706、chy_0731、chy_0732およびchy_0733からなる群から選択される遺伝子によってコードされる、請求項94に記載の生物体。 請求項96 前記ホルミルテトラヒドロ葉酸シンテターゼが、moth_0109、chy_2385およびfhsからなる群から選択される遺伝子によってコードされる、請求項94に記載の生物体。 請求項97 前記メテニルテトラヒドロ葉酸シクロヒドロラーゼが、moth_1516、folDおよびchy_1878からなる群から選択される遺伝子によってコードされる、請求項94に記載の生物体。 請求項98 前記メチレンテトラヒドロ葉酸デヒドロゲナーゼが、moth_1516、folDおよびchy_1878からなる群から選択される遺伝子によってコードされる、請求項94に記載の生物体。 請求項99 前記メチレンテトラヒドロ葉酸レダクターゼが、moth_1191、metFおよびchy_1233からなる群から選択される遺伝子によってコードされる、請求項94に記載の生物体。 請求項100 1)CO、2)CO2およびH2、3)COおよびCO2、4)COおよびH2を含む合成ガス、ならびに5)CO、CO2およびH2を含む合成ガスからなる群から選択されるフィードストックを利用する、請求項94に記載の生物体。 請求項101 天然に存在しない微生物の生物体であって、1,4−ブタンジオールを生成するのに十分な量で発現される1,4−ブタンジオール経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含む1,4−ブタンジオール経路を有する微生物の生物体を含み、前記1,4−ブタンジオール経路の酵素が、アセトアセチルCoAチオラーゼ、3−ヒドロキシブチリルCoAデヒドロゲナーゼ、クロトナーゼ、クロトニルCoAヒドラターゼ、4−ヒドロキシブチリルCoAレダクターゼ(アルコール形成性)、4−ヒドロキシブチリルCoAレダクターゼ(アルデヒド形成性)および1,4−ブタンジオールデヒドロゲナーゼを含み、前記生物体が、アセチルCoAを生成するのに十分な量で発現されるアセチルCoA経路の酵素をコードする少なくとも1つの外因性核酸を含むアセチルCoA経路をさらに含み、前記アセチルCoA経路の酵素が、コリノイドタンパク質、メチルテトラヒドロ葉酸:コリノイドタンパク質メチルトランスフェラーゼ、コリノイド鉄−硫黄タンパク質、ニッケル−タンパク質アセンブリータンパク質、フェレドキシン、アセチルCoAシンターゼ、一酸化炭素デヒドロゲナーゼ、ピルビン酸フェレドキシンオキシドレダクターゼおよびヒドロゲナーゼを含む天然に存在しない生物体。 請求項102 前記アセトアセチルCoAチオラーゼが、atoB、thlA、thlBおよびerg10からなる群から選択される遺伝子によってコードされる、請求項101に記載の生物体。 請求項103 前記3−ヒドロキシブチリルCoAデヒドロゲナーゼが、hbd、msed_1423、msed_0399、msed_0389およびmsed_1933からなる群から選択される遺伝子によってコードされる、請求項101に記載の生物体。 請求項104 前記クロトナーゼが、crt、paaA、paaB、phaA、phaB、maoC、paaFおよびpaaGからなる群から選択される遺伝子によってコードされる、請求項101に記載の生物体。 請求項105 前記クロトニルCoAヒドラターゼが、abfD、msed_1321およびmsed_1220からなる群から選択される遺伝子によってコードされる、請求項101に記載の生物体。 請求項106 前記4−ヒドロキシブチリルCoAレダクターゼ(アルコール形成性)が、adhE、adhE2、mcr、rcas_2929、nap1_02720およびmgp2080_00535からなる群から選択される遺伝子によってコードされる、請求項101に記載の生物体。 請求項107 前記4−ヒドロキシブチリルCoAレダクターゼ(アルデヒド形成性)が、acr1、sucD、bphG、msed_0709、mcr、asd−2およびsaci_2370からなる群から選択される遺伝子によってコードされる、請求項101に記載の生物体。 請求項108 前記1,4−ブタンジオールデヒドロゲナーゼが、alrA、adh2、yqhD、bdhI、bdhIIおよび4hbdからなる群から選択される遺伝子によってコードされる、請求項101に記載の生物体。 請求項109 前記コリノイドタンパク質が、mtaC、mtaC1、mtaC2およびmtaC3からなる群から選択される遺伝子によってコードされる、請求項101に記載の生物体。 請求項110 前記メチルテトラヒドロ葉酸:コリノイドタンパク質メチルトランスフェラーゼが、mtaAおよびmtaA1、mtaA2からなる群から選択される遺伝子によってコードされる、請求項101に記載の生物体。 請求項111 前記メチルテトラヒドロ葉酸:コリノイドタンパク質メチルトランスフェラーゼが、遺伝子acsEによってコードされる、請求項101に記載の生物体。 請求項112 前記コリノイド鉄−硫黄タンパク質が、遺伝子acsDによってコードされる、請求項101に記載の生物体。 請求項113 前記ニッケル−タンパク質アセンブリータンパク質が、acsFおよびcooCからなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子によってコードされる、請求項101に記載の生物体。 請求項114 前記フェレドキシンが、遺伝子orf7によってコードされる、請求項101に記載の生物体。 請求項115 前記アセチルCoAシンターゼが、acsBおよびacsCからなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子によってコードされる、請求項101に記載の生物体。 請求項116 前記一酸化炭素デヒドロゲナーゼが、遺伝子acsAによってコードされる、請求項101に記載の生物体。 請求項117 前記ピルビン酸フェレドキシンオキシドレダクターゼが、porおよびydbKからなる群から選択される遺伝子によってコードされる、請求項101に記載の生物体。 請求項118 前記ヒドロゲナーゼが、hypA、hypB、hypC、hypD、hypE、hypF、moth_2175、moth_2176、moth_2177、moth_2178、moth_2179、moth_2180、moth_2181、hycA、hycB、hycC、hycD、hycE、hycF、hycG、hycH、hycI、hyfA、hyfB、hyfC、hyfD、hyfE、hyfF、hyfG、hyfH、hyfI、hyfJ、hyfR、moth_2182、moth_2183、moth_2184、moth_2185、moth_2186、moth_2187、moth_2188、moth_2189、moth_2190、moth_2191、moth_2192、moth_0439、moth_0440、moth_0441、moth_0442、moth_0809、moth_0810、moth_0811、moth_0812、moth_0813、moth_0814、moth_0815、moth_0816、moth_1193、moth_1194、moth_1195、moth_1196、moth_1717、moth_1718、moth_1719、moth_1883、moth_1884、moth_1885、moth_1886、moth_1887、moth_1888、moth_1452、moth_1453およびmoth_1454からなる群から選択される少なくとも1つの遺伝子によってコードされる、請求項101に記載の生物体。 請求項119 遺伝子acsEpsによってコードされるポリペプチド(polypetide)AcsEpsをさらに含む、請求項101に記載の生物体。 請求項120 codh、codh−I、cooF、hypA、cooH、cooU、cooX、cooL、cooK、cooM、cooT、cooJおよびcodh−IIからなる群から選択される遺伝子によってコードされる少なくとも1つの酵素またはポリペプチドをさらに含む、請求項101に記載の生物体。 請求項121 メタノールメチルトランスフェラーゼをさらに含む、請求項101に記載の生物体。 請求項122 前記メタノールメチルトランスフェラーゼが、mtaB、mtaB1、mtaB2およびmtaB3からなる群から選択される遺伝子によってコードされる、請求項121に記載の生物体。 請求項123 1)メタノールおよびCO、2)メタノール、CO2およびH2、3)メタノール、CO、CO2およびH2、4)メタノール、ならびにCOおよびH2を含む合成ガス、5)メタノール、ならびにCO、CO2およびH2を含む合成ガスからなる群から選択されるフィードストックを利用する、請求項121に記載の生物体。 請求項124 |